第百二十五話 帝国の過ち
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基地は陥落しました」
その彼に部下が告げる。
「残りの兵は最後の基地に向けて撤退しています」
「そうか」
「そして我等は」
「どうされますか?」
「決まっている」
彼は忌々しげな声でその部下に応えた。
「それはな。では我等もだ」
「うむ。早く逃げろ」
ローザも彼に告げる。
「私が後詰になる。早く行け」
「礼は言わんぞ」
「そのようなもの最初から求めていない。わかれば早く行け」
「ふん」
こうしてネグロスの戦艦が先に最後の基地に向かう。そうして退路につく。だがその途中で。
「そうはいきませんよ」
「!?何か言ったか」
ネグロスは今の声を聞いてまずは周りの部下達に問うた。
「言ったのは貴様か?」
「いえ」
最初の部下がそれを否定した。
「私ではありません」
「では貴様は?」
「いえ、私でも」
「では一体誰だ」
「貴方は許されないことをしました」
しかしまたここで声がするのだった。
「今からそれを裁きましょう」
「裁く!?どういうことだ」
「お話はこれまでです。それでは」
そして何処かから黒い光が生じそれが放たれた。
「縮退砲、発射!」
その攻撃を中央に受けた戦艦は真っ二つになり闇の中に消えていった。ネグロスは誰に攻撃を受けたのか気付く間もなく消えたのだった。
「これでよし、です」
「そうですか」
チカはシュウに対して応えていた。
「いきなり出撃されるから何かって思いましたけれど」
「流石にこれは見過ごすことができませんでしたので」
シュウはチカに言葉を返す。
「ですから」
「だからあいつをやっつけたんですか」
「その通りです。もっとも彼等なら防いでくれると思っていました」
核ミサイルについてはそうなのだった。
「間違いなく」
「それで御主人様はあいつをですか」
「ええ。しかし帝国軍も」
「あいつ等が?」
「思ったより愚かですね」
彼等に対してこう言うのだった。
「格ミサイルを使ったことといい。それに」
「それに?」
「自分達が何かさえ全くわかっていない子供達まで加えているのですからね」
「ああ、あいつ等ですか」
チカはシュウが今言った子供達とは誰を指し示しているのかすぐにわかった。
「あいつ等のことですね」
「そうです。人間は確かに神になれます」
「ええ」
「しかし。それは自分達が高みに立つというわけではないのです」
「それとはまた違うんですね」
「その通りです。人は神になれます」
彼はまた言った。
「そして神は人と共にあるのです」
「人と共にですか」
「決して君臨するものではありません」
こうも言うのだった。
「支配するものでは。それがわかっていないならば真の意味で神ではありません」
「じゃああいつもですか」
「勿論です」
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