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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
第十一話「職業、高等学校教師」
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ることはありません。あまり人間を舐めていると、手痛いしっぺ返しを食らいますよ?」
「ハハハッ! 面白いことを言うなセンセェ! 人間が妖怪に勝てるわけないじゃん」
小宮くんの考えと同じなのか失笑する生徒たち。同調しないのは萌香を含め十五人だけだった。
「いやいや、それが――」
癪に障ったのか低い唸り声を上げるハクを教卓の上に乗せ、苦笑した俺は唐突に姿を掻き消した。
「――意外とそうでもないんだな、これが」
教室が静寂で包まれた。小宮くんを含め失笑の声を上げていた生徒たちが皆、同じ表情を浮かべている。
小宮くんの背後に素早く回り込んだ俺はその首に小型ナイフを突きつけていたのだ。誰もが俺の行動を目で追えず唖然としていた。見れば萌香も目を見開いている。
――まだまだ修業不足だな、萌香。
「確かに妖怪に勝てる人間というのは数が少ない。が、皆無ではない。現に君たちが見ていた通り、先生の実力は妖怪に勝ると自負している。だからこそ、この学園で教師をしていられるのだがね」
通常のナイフでは妖には太刀打ちできないが、このナイフには破魔の術式が刻んであり、妖にとってまさに猛毒。人間でいうところの銃を突き付けられたようなプレッシャーを感じているだろう。
冷や汗を垂らし身動きが取れない小宮くんを見てナイフを降ろした。
「小宮くんもすまなかったね。だけど、いい経験になっただろう?」
震える肩を叩き、教卓に戻る。改めて教室内を見回せば、生徒たちの俺を見る目が変わっていた。畏怖、恐怖、尊敬、好意、そして敵意へと。
「話が少し脱線してしまったな。――話を戻しますが、この学園で過す上で、校則として皆さんには人間の姿で生活をしてもらいます。人間との共存の基本は人間社会に溶け込むこと。すなわち上手く人間に化けることが基本となります。自分の正体が他人に知られないように注意してください」
丁度チャイムが鳴ったため、長々とした話を区切る。
「明日から通常授業が始まりますので、配布された教科書を持ってくるように。では起立、礼」
一礼する生徒たちに頷くように頭を下げた俺は猫目先生を連れて教室を出た。
――さて、今年の一年はどんな事件を起こすのかな。あまり先生を困らせないでくれよ?
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