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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
第十一話「職業、高等学校教師」
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の首にはお袋が渡したというロザリオが掛けられていた。真祖の場合だとロザリオは弱点にならないんだな。


 教卓の前に立った俺は教室内をぐるっと見渡した。猫目先生は教壇の横に立ちソワソワした様子でクラスを見回している。


「――皆さん、陽海学園への入学おめでとうございます。私はこのクラスの担任となった須藤千夜です。すでに皆さんも知ってのことでしょうが、この学園は妖怪が通うための場所です」


 これは既にここにいる全員が知っているはずの事なのだが、ただ一人だけ唖然としている生徒がいた。


 ――あの男子生徒は確か、青野月音くんだったか。なにを驚いているんだ?


 一人だけ反応の違う生徒に内心首を傾げながらも、それをおくびにも出さずに説明を続ける。


「現在、地球は人間の支配下にあると言っても過言ではありません。そんな環境の中、妖怪が生き延びていくには人間と共存していくしか方法は無いと言ってもいいでしょう。個の力は妖怪の方が断然上ですが、人間には銃器を始めとした近代兵器や、妖怪退治を生業とした組織も存在します。人間と戦争が起これば滅ぼすことも可能でしょうが、妖怪もまた大打撃を受けるでしょう。そうならないためにも、この学園では人間との共存の仕方を学んでいきます。主に私が担当する道徳の授業ですね。人間に関して言えば、私が一番詳しいですから」


「先生、それはどういう意味でしょうか?」


 一人の男子生徒が挙手する。


「君は矢倉孝基くんですね。その質問の答えは簡単です。私がこの学園唯一の、人間の教師だからです」


 一瞬の静寂。そして、場が騒然と化した。口々に「なぜ人間がここに?」との声がそこらかしこで上がる。


「はい、静かに。なぜ人間の私が妖怪の学園にいるのかという点ですが、これはなんら不思議なことではありません。人間との共存を目的としているのですから、まず人間とはどういった生き物で、どういう生活を営んでいるのかを知る必要があります。それには同じ人間である先生が一番のうってつけというわけですね」


「だけどセンセェ〜、人間なんてみんな喰っちまえばいいだろ。美女は襲えばいいんだし」


 小馬鹿にしたような笑みを浮かべた生徒が、机に肘をつきニヤニヤとした笑みを浮かべていた。大方、俺が人間だと知って、脅して反応を見て楽しもうという魂胆なのだろう。この学園で五年間教師を続け、新入生を持った時は毎回同じような反応をするからな。


 ――この生徒は、確か小宮砕蔵くんといったかな。


「ふむ、確かに中にはそういった過激な考えを持つヒトも居ますね。しかし、先ほど言った通り人間との戦争となれば、妖怪側も大ダメージを受けることとなります。それに、人間もただ黙って喰われ
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