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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
第十一話「職業、高等学校教師」
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 ここ陽海学園は妖怪のために設立された学校であり、人間との共存を目的としている。そのため、ここに通う生徒及び教員は全員妖怪だ。中には人間との共存を反対している者も大勢いる。生徒だけでなく教師にも問題を抱えているヒトがいるからな。その点、猫目先生は信頼のおけるヒトだ。


 そんな学園で俺は教師をしている。人間との共存を目的とするから、一人くらい人間が居てもいいだろうとは理事長の言葉だ。人間だからと舐めて掛かり、俺の命を狙う生徒、もしくは教師たちも中にはいるが、その都度教育的指導を行っている。もちろん、方法は肉体言語、拳でかたり合う二者面談だ。


 ちなみに俺の肩書きは【広域最高指導員】というもの。この広域最高指導員というのは問題を起こした生徒や教員の最終処罰を選択する権利を有する。噛み砕いて説明すれば、俺のさじ加減一つで退学にすることも不問にすることも可能ということだ。


 担当科目は生物学と道徳。道徳では人間界での常識や人間との共存に関するものを述べている。


「それで理事長、俺の配置はどうなるのでしょうか」


 前年度は三年のクラス担任を任されたから、今年もどこか違うクラスを担当することになるのかな。そう思っていたのだが――、


「須藤君には一年三組の担任をしてもらう。猫目先生は副担任を担当してもらうつもりだ」


「一年三組の担任、ですか……?」


「そうだ。何か問題でもあるかね?」


 理事長の言葉に首を横に振った。まさか萌香のクラスの担任を任されるとは。恐らく萌香の事情から俺の気持ちを察してくれたのだろう。当然、仕事上では公私混同した行動はとらないが、それでもやはり気になってしまう。


「いえ……感謝します、理事長」


 理事長の采配に心の底から感謝の念を捧げた俺は、深く頭を下げたのだった。





   †                   †                  †





 職員室へ向かった俺は他の教員の先生方に挨拶をして回った。猫目先生の元にも向かうと、俺の姿に気が付き手を振ってくる。


 猫目静先生。猫目で常に笑顔が絶えず生徒や教師からの信頼も厚いヒトだ。教職に慣れない俺を指導してくれた先生でもある。


「あら、お久しぶりですね〜」


「ええ、ご無沙汰しております。すみません、私が抜けている間、先生にも負担を掛けましたね」


「いえいえ、お気になさらず〜。先生も教師の仕事と何でも屋の仕事と大変ですね」


 俺の裏稼業は表向きには何でも屋ということになっている。確かに依頼は探偵紛いのことから要人の暗殺まで幅広く引き受けているため、あながち間違いではない。



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