第62話 =空への一歩目=
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当然届くはずはない、でも届きそうと思わせるほど空が近かった。
「でしょ。この空を見てると、小っちゃく見えるよね、いろんなことが」
俺たちに言われたのかと思い、2人してリーファを見るが、彼女の顔は少し悲しそうに笑っており独り言のように呟く。
「……いいきっかけだったよ。いつかはここを出て行こうと思ってたの。1人じゃ怖くて、なかなか決心がつかなかったんだけど…」
「それを後押しできる存在になれて光栄だな……でも喧嘩別れさせちゃったのは…」
「あの様子じゃ、どっちにしろ穏便には抜けられなかったよ……どうして…なんでああやって、縛ったり縛られたりしたがるのかな…せっかく、翅があるのに……」
そんなリーファの疑問に対して答えたのは俺やキリトじゃなく、キリトの胸ポケットからちょこんと顔を出したプライベートピクシーのユイだった。
「フクザツですね、人間は」
キラランと飛び立つとキリトの肩に飛び移り小さな肩を組んで首をかしげる。
「ヒトを求める心を、あんなややこしく表現する心理は理解できません」
「…求める?」
「他者の心を求める衝動が人間の行動原理だとわたしは理解しています。ゆえにそれはわたしのベースメントでもあるのですが…わたしなら」
と、言葉を切り小さな手をキリトの頬に添えたと思ったらかがみこんで音高くキスをした。
「こうします。とてもシンプルで明確です」
……似たようなことをいってたやつがいたっけ…ユイと同じAIだったからあいつも、もし体を持ってたのならこんな風に行動を起こしていたのだろうか…。
「だな…でも、そんな簡単じゃないのが人間なんだよ」
欲求を理性やら倫理やらで押さえ込んだのが人間だ。そのおかげで他の動物には見られないほどの大発展を繰り返してきたがその分だけコミュニケーションが取りにくくなったのも事実。
「手順と様式ってやつですね」
「……変なこと憶えないでくれよ…」
ユイの発言にキリトに睨まれるが俺じゃないという意志を出すため全力で首を横に振る。もしアスナに誤解されたらこの2人に俺が殺される…。
「す、すごいAIね……プライベートピクシーってみんなそうなの?」
「こいつが特にヘンなだけだよ」
そういいながらキリトは起用にユイを摘み上げて胸ポケットにひょいと放り込む。
「ヒトを求める心かぁ……」
ヒトを求める…か。サチにシリカ、リズ、そしてユカ…あいつらは今、俺のことをどう思っているのかな…。あの世界でそこことを言われてからすでに結構な月日が経とうとしている。でもいまだに俺はその答えが出ていない。…あいまいな答えは出たけれど…責任を持てって言われても最近じゃそれもよくわからなくなってきた…。
今ここで考えてい
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