第62話 =空への一歩目=
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類ほどあるらしい。
1つは種族ごとにある領地を本拠地として同種族のパーティを組んで稼いだ金の一部を上に納め勢力の発展に貢献するグループ。そしてもう1つは領地を捨てて異種族とパーティを組んでゲーム攻略を行うグループだ。どうやら後者は前者に蔑視されることが多くその領地を捨てたプレイヤーを『脱領者』というらしい。
そして今の迷いの色とシグルドの言葉でリーファは恐らく前者、発展貢献の側だというのがわかる。だがリーファは何かを決意したのか一度自分を落ち着かせるように呼吸をすると口を開いた。
「…そうよ…あたし、ここを出るわ」
リーファの決意にシグルドは気に入らないかのように唇をゆがめ、食いしばった歯をわずかに出すと今まで手のかけていたブロードソードをいきなり抜刀した。
「シ、シグさん落ち着いてください!こんな人目のあるところで無抵抗の相手をキルなんてしたら…」
そんなシグルドの後ろにいたプレイヤーの1人が小声でささやいていた。周りにはトラブルの気配に惹かれたように野次馬の輪が作られていた。その光景を見たシグルドは歯噛みしながら俺たちを睨んでいたがやがて剣を納める。
「せいぜい外では逃げ隠れることだな……リーファ」
俺とキリトにかっこ悪く捨て台詞をはいておいてリーファへと視線を移す。
「……今俺を裏切れば、近いうちに必ず後悔することになるぞ」
「留まって後悔するよりかはずっとマシだわ」
「戻りたくなったときのために、泣いて土下座する練習をしておくんだな」
それだけを言い放つとシグルドはそのまま身を翻し、塔の出口へと歩き始めた。それに付き従うパーティメンバーも何かを言おうとリーファを見ていたが、やがて諦めたようにシグルドをおって行った。
「危なかった……舌が回ったやつなら完璧に負けてた……」
どちらかと言えば俺は口より体が先に動く方だから今回のようなケースは自分の中でも珍しい。ただ、ボキャブラリーが限られているので口が達者だったら言いくるめられていたと思う。
「……ゴメンね、妙なことに巻き込んじゃって…」
「ん、いや…俺も火に油を注ぐようなこと言っちゃったし」
「しかし…いいのか?…領地を捨てるって…」
キリトの言葉にリーファは返答に少し時間をかけていたが、答えが見つからなかったためか俺たちの腕を無言で引っ張りエレベータへと向かいはじめた。
そしてちょうど降りてきたエレベータに飛び乗り数十秒後、扉が開いたときには広大な空が俺たちの目に入った。
「……おぉ…すごい眺めだな……」
キリトの言うとおり空だけじゃなくここから見えるアルブヘイムの地はとにかく凄かった。
「……手、届きそうだ…」
子供みたいに手を天に向かって伸ばすが
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