第六話 雷光、二刀流
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んじゃねえよ!俺には才能があんだよ!偉そうにしてんじゃねえ!」
そう言って振るわれる薙ぎ払いを大きく距離を取るように跳躍することでかわす。
そうしてアリスは口を開く。
「私はともかく、局員や教師は偉そうなんじゃなくて、実際にあなたより偉いんですよ。」
「どこがだ!たかだか十数年俺より先に生まれてるだけじゃねえか!それになにより俺より弱くて才能もねえのによ!」
アリスの言葉にカチンと来たのか、さらに声を荒げ吼える少年。
しかし、アリスにとってその言葉の中には見過ごせない内容があった。
「その十数年が大事なのよ。十数年ちょっとの時間しか生きていない私やあなたより、それだけ多くの人生経験を積んでる。色々な苦い経験だってしてきている。そんな人たちだからこそ、私たちよりも偉いのよ。」
アリスの口調から丁寧さが消える。そこにはわずかに怒りがあった。
アリスは才能ある少女である。それをアリス自身がしっかりと認識している。
それは自意識過剰なことではなく、実際に周りに認められ、結果も残してきた。
そのうえでの認識でしかない。
しかし、その才能の上に胡坐をかいたことなど、アリスは一度もない。
どれだけの才能を持とうとも所詮は小娘。長い時を生きた老練な人間には敵わない部分も多い。
アリスはそれを自覚している。だからこそ、年長者の意見には耳を傾けるべきだと考えている。
しかし、それを認められない少年は反論する。
「はっ!だからってこの俺が雑魚の言うことを聞くとでも?」
アリスは呆れたような表情を見せる。
「はぁ………。典型的な力に溺れた奴の言い分ね。」
アリスは大きなため息をついた。
力に、才に溺れた者ほど、弱者を見下すからである。
その時、顔は下を向き、顔を手で覆っていたため、少年にとっては大きな隙ができていたように思えた。
少年は自分の全力を込めた黒い弾丸を打ち出す。
「死ね!」
『Black bullet.』
黒い弾丸は十分な勢いを以てアリスに迫る。
しかし、アリスは動じない。
だらんと腕を下げ、リラックスした状態で迫る黒い弾丸を見据える。
残りわずか一メートル。そこまで黒い弾丸が迫った時、右手が大きくぶれた。
ギィン!と大きな音が聞こえた次の瞬間には黒い弾丸がアリスの遥か上を通過していった。
「私は自分よりも早く生まれた人には、尊敬を払うのが常だと思うわ。」
アリスは左半身を前に出し、わずかに腰を落とす。
「積み上げてきた時間と言うのはそれだけ大きなものだから。」
右手に持つ剣を背中に回す。
「でも、そんな私にも尊敬できない人もいる。」
左手に持つ剣を右の腰に回す。
「それは、世の中で自分が一番って思ってる奴よ!」
リンカーコアから溢れる、大きな魔力を解き放つ。
少年は魔力を持たない。
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