第5章 契約
第52話 共工
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うなら、龍族には属さない可能性も有りますか。
【化蛇。ニーズホックの眷属たち】
そう、【念話】で伝えて来ながら、口では何事か呪文を唱え、両手で……印を結ぶ湖の乙女。
その瞬間、後方から接近しつつ有った化蛇が、蒼き姫が放った雷と同じ攻撃に晒された。
化蛇の黒焦げに成る様が分厚い水の壁の向こう側に繰り広げられ、動かなくなった化蛇が遙か深き底にまで沈んで行く。
一瞬の内に両手近くの化蛇を消滅させた蒼き姫と湖の乙女。その攻撃に、容赦も、そして躊躇いさえも感じる事はない。
ただ、淡々と任務を遂行するように、自らに敵対する存在を誅し続ける。
しかし、仮にも、世界樹防衛用の竜。そんな少数ではない。
更に接近して来る大集団。
化蛇。この呼び方から推測すると、おそらく、龍と言うよりは、蛇の一種に分類される存在なのでしょう。
更に、数を増やし接近して来る化蛇の群れ。その姿を視認する為に、瞳に霊力を籠める俺。
空気の層に妨げられながらも、漂って来る腐った水の臭いが鼻を付く。これが、ヤツら、ニーズホックとその眷属たちの持つ生臭いと伝承上に残されている毒の発する臭気か。
俺の霊視が捉えたその姿は……。
……高速で泳ぎ来るその姿は、巨大な青い身体を持つ九頭蛇。九つの首に、それぞれ人間の顔を持つ、ギリシャ神話に登場するヒュドラーに良く似た姿形。
その刹那。蒼き姫が召喚した雷公の腕が、再び昏き水の壁と、倒すべき敵の姿を青白き明かりで照らし出す。
いや、俺は、こいつの別の名前を知って居る。それは……、
「相柳……」
古代中国の魔物。乱神にして水神の共工の配下。あらゆるモノを喰いつくし、この魔物が存在するだけで、その土地は沼沢地となる。
しかも、そいつが顕われた土地の地下から湧き出した水はすべて毒水と成り、あらゆる生物の生息する事の出来ない荒地と化す。
蒼き姫、そして、湖の乙女が倒した化蛇……。俺の知識では相柳と呼ばれる魔獣が倒される度に、ラグドリアン湖を、その体液で穢して行く……。
伝承通りの効果が有るのなら、このラグドリアン湖の水がしばらくの間は使用出来なくなる、危険な毒を撒き散らせながら……。
視界が更に悪く成り、最早、普通の人間のような視界に頼った戦闘は不可能。俺やタバサのように、相手の霊気を読む事に因って居場所を知る術が無ければ、戦う事は不可能な状態への移行。
蒼き姫と湖の乙女。ふたりの特徴的な呪が紡がれる度に、消えて行く悪しき気配たち。
そして、更に透明度を失って行く水。
この雰囲気ならば、例え相手が相柳だろうが、化蛇であろうが、タバサと湖の乙女の二人だけでも、この場は切り
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