第5章 契約
第52話 共工
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避水呪に因って水を退け、仄暗い水中に漂う空気の玉。
ゆらゆらと漂うように、ゆっくりと、しかし、確実に、深き水底へと沈んで行く……。
「探知は、多分、俺よりもタバサの方が得意やから、任せるな」
まったく先の見通す事の出来ない夜の水底。その先へと視線を向けたままの俺の依頼に、腕の中で小さく首肯く蒼き姫。
尚、タバサは自らが契約している妖精たちでは空気を作り出す事が出来ない為に、彼女は例によって俺の腕の中に。そして、湖の乙女は俺の傍らに存在しています。
ただ、古き血の一族の能力を発揮し始めたタバサですから、俺の連れている風に舞う乙女との契約は難しくても、もっと格の低い大気の精となら契約も可能かも知れませんが。
【それで、どれぐらい潜ったら、そのミーミルの井戸とやらに到着するんや?】
そして続ける様に、そう、湖の乙女に【念話】で問い掛ける俺。……なのですが、実際の話、水中での戦闘は俺やタバサにはかなり不利ですし、湖底に溜まっている水は間違いなくミーミルの水。
俺や、タバサがこの水に触れたら、間違いなく何らかの代償を差し出す事に因って、自らの望みを叶えて仕舞いますから、今回の任務も非常に危険な任務となる可能性は高いのですが……。
【湖底までの距離は二百メイル程】
湖の乙女が俺を見つめた後に、そう【伝えて】来た。尚、彼女は水の精霊に分類される存在なのは間違いないと思いますが、何故か、彼女も俺達と同じように、避水呪を唱えているような雰囲気が有りますね。
これは、そのミーミルの水と言う願望達成アイテムが、この湖の乙女にも効果が有る魔法のアイテムだと言う事なのでしょう。
そして、そのミーミルの井戸までの距離は二百メイル。つまり、大体、二百メートル程と言う事ですか。
それならば、
【そのミーミルの水は、どう言う形で望みを叶えるんや。強く心に願う事に因って望みが叶うのか、それとも、その水に触れる。もしくは飲む事に因って、その人間の心の中の望みを、何らかの代償を奪う事によって自動的に叶えて仕舞うタイプの魔法のアイテムか。
その願望達成アイテムは、どのタイプに分類されるんや?】
……と、引き続き質問を行う俺。それに、これも重要な質問でしょう。
強く願う事に因ってのみ、願いを叶えるタイプの魔法のアイテムならば、多分、今回の戦闘に関しては、大きな問題はないと思います。
しかし、もし、自らの心の奥深くに有る願いを自動的に叶えるタイプの願望達成アイテムの場合、非常に大きな問題が出て来るでしょうから。
【その者が水に触れる事に因り、その者の心の奥深くに存在する願いを、その者のもっとも大切にしているモノを代償として自動的に叶える】
そして、考え得る限り、最悪の答
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