Mission
Mission7 ディケ
(1) マンションフレール302号室~イラート海停
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アパート前ではすでにレイアとミラが待っていた。
「遅いわよ」
「悪い」
「まーまーミラ。あ、ジュードとアルヴィンにはわたしから連絡しといたから。今度はどんな仕事なの?」
3人で舗道を歩き出す。目指すはトリグラフ中央駅だ。
「ユリウスが脱走したらしい。その捕獲」
「え……ルドガー、大丈夫?」
「大丈夫も何もない。今の俺はエージェントなんだ。何度だって戦うし、捕まえるさ」
「ええっと、そういうんじゃなくて、その…」
「何だよ、レイア。珍しく溜めるな」
「エージェントって立場に縛られて視野狭窄になってんじゃないの、って言いたいんじゃない? レイアは」
「視野狭窄って……俺が?」
「うん。だって最近のルドガーさ、何かあるとエージェントエージェントって。気合入ってんのもあるだろうけど、ちょっと心配になっちゃって。一直線って、後から色々辛い思いもするし――」
「余裕なくしてるの、むしろあなたのほうじゃないの?」
気を張っていた自覚はある。ガイアスに「世界を壊す覚悟を見せろ」と言われた日から特に。分史破壊では常に強く正しく在ることを心がけ、家に帰ってからの余白は、空気が抜けた風船みたく過ごしてきた。
「だとしても、やるべきことはおろそかにしない。ミラだって、ガイアスと一緒に行った分史で見たはずだろう。俺が何をするか」
「まあ、確かに見させてもらったけど――」
「俺が気に入らないならガイアスみたいに斬りに来いよ。返り討ちにするけどな」
バラ色の双眸が鋭く細められた。
「精霊の主に挑戦状? いい度胸じゃない。いいわよ、じゃあさっそく」
「ストップストッ〜プ!! ここ往来! 二人とも仕事前によけいな消耗は避ける! 何より仲間同士で争わない! 分かった!?」
「仲間って……」
「分かった!?」
「……ああ、もう、分かったわよ! 悪かったわよ」
「すまん、レイア。どうかしてた。レイアの言うように、余裕がないのかもな」
「しかたないよ。その辺をフォローするためにわたしたちがいるんだから。遠慮なく頼ってね」
「ありがとう」
その後は無難なトークをしながら、列車で海を越えてマクスバード/エレン港へ上陸。シャウルーザ越溝橋を渡り、マクスバード/リーゼ港から船でイラート海停を目指した。
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