第百二十話 宇宙への門
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るがそれでもだった。ロンド=ベルの勢いに止められていた。
「そういえばだ」
「どうしました?」
「いや、敵にこれといった指揮官がいないな」
ヘンケンはこうベンに答えるのだった。
「これまで敵の本陣には色々と指揮官のものらしき戦艦があったな」
「はい」
「今回はそれがいない」
彼は言うのだった。
「そのせいか攻撃も雑だしな」
「そうですね。攻めてくるだけで」
「うん」
「数で押してくるだけで」
「普段はよりはっきりとした攻撃を仕掛けてくるというのにな」
彼等ももう帝国の戦いがどういうものかわかってきていたのである。
「我々を侮っているのか。それとも」
「それとも?」
「何か事情があるのか」
ヘンケンは戦いの指揮を執りながら考えるのだった。
「やはりここは」
「さて、そこまではわかりませんが」
「とにかくだ。今は」
「はい、戦うだけです」
とにかくまずはそれであった。
「敵を倒して宇宙に出なければなりませんから」
「その通りだな」
「ワカバ少尉!」
ここでベンはケーン達に対して声をかけた。
「右です!右から来ていますよ!」
「サンキュー、曹長!」
ケーンはベンの今の言葉を受けて右に剣を振るった。それで敵機を一機両断したのだった。
「おかげで助かったぜ!」
「油断されぬよう、いいですな!」
「流石だな」
ヘンケンは今のベンのアドバイスを見て満足そうに笑った。
「あの三人のことはよくわかっているか」
「やんちゃですがそれだけに見事です」
ベンもまた微笑んで言う。
「おかげで教育のしがいもありました」
「ははは、うちの部隊は大抵そんな奴ばかりだがな」
そうした人間はケーンだけではないのであった。
「さて、その腕白達がだ」
「はい」132
「見事に戦ってくれている」
目を細めさせての言葉だった。
「充分以上にな」
「その通りです。よくやってくれています」
「全くだ。では我々も」
「はい、敵も来ておりますし」
「メガ粒子砲、撃て!」
接近してきた敵小隊に対して攻撃を仕掛ける。
「近寄ってきたら容赦はするな!」
「了解!」
アゼレアが頷く。戦艦も動くことはできないがそれでも攻撃を仕掛けていた。
戦いが続く。やがて十分経った。その頃にはもう敵はかなり減っていた。
「どれ位減った」
「六十万です」
テッサが宗介に述べる。
「あと四十万です」
「そうか。それだけか」
「はい、そうです」
「わかった。では一気に行かせてもらう」
彼はここで攻撃に転じるつもりだった。
「それで敵を倒す」
「ちょっと待ちなさいよ」
しかしここで彼を呼び止める声がしたのだった。
「あんた死ぬ気?」
「この声は」
「そうよ、あたしよ」
それは紛れもなく少女の声だった。
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