第百十四話 斗牙とエイジ
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それでよ」
「ええ」
「暫くここで時間潰すんだよな」
「そのつもりだけれど」
こう言葉を返すルナだった。
「それがどうかしたの?」
「まあ俺はそれでいいんだけれどな」
エイジもエイジで犬や猫に囲まれて楽しげではある。
「けれどな」
「どうしたの?」
「こいつがな」
指差したのは斗牙であった。
「どうなんだよ、さっきから」
「どうかしたの?」
しかも当人はあまりわかっていない顔であった。平然としている。
「この犬とか猫が」
「どうしたじゃねえだろ?」
エイジはそんな彼に呆れた顔で告げる。
「あのな、斗牙」
「うん」
「御前犬とか猫と遊んだことねえのかよ」
「ないけれど」
これまた随分とあっさりとした返答だった。
「だから僕ずっとお城にいたから」
「まあそれはわかってるけれどな」
エイジもその辺りはわかってはいた。
「けれどな。それでも遊んだりしろよ」
「どうやって遊ぶの?」
やはりわかってはいなかった。
「遊ぶっていっても。ルナやエイナ達みたいにすればいいのかな」
「そうだよ」
やはり呆れた声で話すエイジだった。
「ったくよお。んっ!?」
「あっ、あんた達も来てたの」
エイジとルナがここで気付いた。見ればそこにいるのはチビメイド達であった。
「はい、レイヴンさんに案内してもらいました」
「おかげで」
「私とて遊ぶ時は遊ぶ」
レイヴンは仮面のまま堂々と外に出ているのだった。
「しかし。それにしてもだ」
「それにしても?」
「いい場所だ」
周りを見回して言う。
「犬や猫が可愛い。最高だな」
「そうですよね。ワンちゃんもニャンコちゃんも可愛いです」
「最高です」
チビメイド達も彼の足元で笑顔でいた。
「このセントバーナードさん凄く賢いし優しいし」
「シャム猫さんつんつんしてて面白いですよ」
「面白い?」
斗牙は彼女達の言葉にも何が何だかわからないといった顔であった。
「遊ぶのが?」
「動物達と触れ合うのはいい」
レイヴンは仮面に右の指をやって言う。
「だからだ。斗牙」
「はい」
「御前も楽しむのだ」
こう彼に話すのだった。
「是非な」
「わかりました。それでは」
レイヴンの言葉に頷きそのまま犬や猫達の中に入る。しかしそれで話が終わったわけではなくただその中にいるだけの彼であった。
「何かよ」
「やっぱり変だっていうの?」
「っていうかあからさまに変じゃねえか」
エイジはまたルナに話していた。
「あいつよ。まじで何もしてねえだろ」
「遊んでるじゃない」
「そうか?」
ルナの言葉にも首を捻るのだった。
「とてもそうはよ。何か」
「何か?」
「人間じゃねえみてえだ」
エイジの今度の斗牙を見ての言葉はそれであった。
「人形か?」
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