第百十四話 斗牙とエイジ
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答えながらこれまたかなり大きな将棋盤を出してきたのだった。
「中将棋です。やりますか?」
「中将棋か」
アーウィンは中将棋と聞いて目を少し動かした。
「話には聞いていたがな」
「これが勉強してみると楽しくて」
言いながらその将棋盤の上に駒を置いていく。駒の数はかなりのものであり普通の将棋にはないものも随分とあった。
「病み付きになりますよ」
「確かに面白そうだな」
アーウィンはその置かれている駒を見て言った。
「やってみてもな」
「はい。それじゃあ」
「ただ。俺はこの将棋のルールを知らないが」
「ルールは基本的には普通の将棋と同じですよ」
こうアーウィンに述べた。
「将棋にはない駒の動きが特徴的なだけで」
「それがわからないのだがな」
「それは教えさせてもらいます」
これまた呑気な言葉であった。
「それでは。二人で」
「ああ。やるか」
こうして二人はこの中将棋を楽しむのだった。その時街ではエイジ達が買い物をしていた。買い物をしながら外を見回していた。
「本当に何時見ても新鮮だよね」
斗牙がその周りを見回して言うのだった。
「外の世界って」
「そうか?」
エイジはその斗牙の言葉に対して首を捻るのだった。
「俺は別にな」
「だから。斗牙は最近まであのお城の外から一歩も出なかったのよ」
ルナはそのエイジに対して話す。
「だったら外の世界を知らなくても当然じゃない」
「言われてみればそうか」
エイジも言われて気付くのだった。
「それもな」
「そういうこと。ってこれ何回か言ってるじゃない」
「それでも信じられねえんだよ」
彼にとってはそうなのだった。
「あの城から出たことねえっていうのがな」
「あんたはあんた」
ルナは言う。
「それで斗牙は斗牙よ」
「だからかよ」
「わかってないみたいだけれどね」
じとっ、といった目でエイジを見ての言葉だった。
「どう見ても」
「へっ、どうせわからねえよ」
鞄を持っている手を頭の後ろにやって居直るのだった。
「俺にはよ」
「全く。最近はすねるし」
ルナはそれでも言うのだった。
「どうしようもないわね、本当に」
「勝手に言ってな。それでな」
「ええ」
「買うもんは買ったよな」
「そうね」
今度は素直にエイジの言葉に頷いていた。
「これで終わりよ。大体買ったわ」
「そうか。じゃあ後どうするんだ?」
「どうするって言われても」
ルナは今のエイジの言葉には首を捻るのだった。
「ちょっと」
「何だよ、何も考えてねえのかよ」
「そういうわけじゃないけれど」
こうは言うが言葉は随分と歯切れの悪いものだった。
「ちょっとね」
「じゃどっか行くか?」
エイジはこう提案してきた。
「どっかにな。どうだよ」
「どっかに
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