第百十三話 四十年前の依頼
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あそれもこれからだな」
「全部何もかもなのね」
命はそれが少し不満そうだった。
「ロジャーさん次第なのね」
「あの人を信じるしかないわね」
セニアも彼女の言葉に頷く。
「ここはね」
「そうね。ここはね」
結局命も同じ考えだった。そしてそれはロンド=ベルの他のメンバーも同じであり今は艦内に待機してそのうえで待っているしかなかった。
その時ロジャーは農園に向かっていた。ドロシーもやはり一緒だ。
「もうすぐよ」
「わかっている」
ロジャーは車を運転しながらドロシーの言葉に応えていた。
「いよいよだな」
「いよいよ?」
「少なくとも何かがわかる」
彼はこうドロシーに応えた。
「この街の秘密の何かがな」
「わかるのね」
「一つ気になることがある」
ロジャーはここでまた言った。
「四十年前の謎」
「それのことでなのね」
「そうだ。あの時私は言われた」
先に農園に来た時の話だった。
「依頼されたと」
「そういえばそうだったかしら」
「それだ。何を依頼されていたかだ」
彼はまた話す。
「あの彼に。一体何を」
「それがわからないのね」
「有り得ないことだ」
彼はまた言う。
「私が依頼を受けてそれを覚えていないということはだ」
「そのことが有り得ないの」
「そうだ。何を依頼されたのだ?」
自分で自分に問うた言葉であった。
「私は。彼に」
「それを確かめに行くのね」
「その通りだ。話してくれるかどうかはわからない」
それは不明だというのだ。
「だが」
「だが?」
「それでも行く価値はある」
こうも言う。
「行かなければ何もなりはしない」
「だから行くのね」
「何かがなるには何かをすることだ」
彼の持論の一つであった。
「だから今私はそれをする」
「そうなの」
「そうだ。さて、もうすぐだ」
もうその農園が見えてきていた。黄金色の麦畑がそこにある。
「農園だ。行くか」
「わかったわ」
こうして二人は農園に入った。そうしてゴードンの家に入りそこで話をすることになった。コーヒーを差し出したゴードンはここでロジャーに対して言って来た。
「来ると思っていたよ」
「そうですか」
「アランと闘ったな」
そして今度はこう問うてきた。
「そうだな」
「御存知ですか」
「そうなることもわかっていた」
彼はこうもロジャーに話す。
「既にな」
「わかっていた」
「そう。全てはわかっていたのだよ」
彼はまたロジャーに話してきた。
「私が君に依頼したあの時から」
「それです」
ロジャーもそのことについて問うのだった。
「私が貴方から依頼を受けていた」
「うむ」
「私はそれを覚えていません」
このことを話すのである。
「全く。それは何時為されたのですか?」
「四
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