第百十二話 赤い果実
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それもまた言う。
「一旦家に戻るか」
「わかったわ。それじゃあ」
こうして彼は一旦自分の家に戻った。彼が家に戻った時ロンド=ベルの面々は家にはいなかった。家にいるのは執事の彼だけであった。
「彼等はまた出たのか」
「はい」
その執事のノーマンが彼に答えた。
「皆様もう」
「そうか。相変わらず動くのは速いな」
既にそのことを把握しているのだった。
「では旦那様も」
「そうだな。まずは昼食を採ってから」
「はい」
そのうえでまた調べる為に街に出ようと思っていた。しかしだった。
「昼食は一人でより二人でだったかしら」
「むっ!?」
「私もご一緒させてもらっていいかしら」
金髪の妖艶な女がロジャーの前に姿を現わした。
「どうかしら。ロジャー=スミス」
「君か」
ロジャーはその金髪の美女を見て目を少し強いものにさせた。
「一体どういった用件だ?」
「少し興味があって」
女はまずはロジャーの問いに答えなかった。
「それで来たのだけれど」
「ここにか」
「ええ。それでまずは昼食だけれど」
「わかった、エンジェル」
ロジャーはまず彼女の名を呼んだ。
「君も一緒に食事をだな」
「ええ、御願い」
こうしてロジャーはまずはそのエンジェルという美女と共に昼食を採った。その場で彼女は同席させてもらっているロジャーに対して問うてきたのであった。
「また依頼を受けたそうね」
「答えるつもりはない」
ゴードンとのやり取りの時と同じであった。
「そのことについてはな」
「相変わらずね」
エンジェルは彼のその言葉を受けて微笑んだ。
「けれど」
「何だ?」
しかしまだ言うのだった。
「アレックスのところにも行っていたわね」
「何故君がそれを知っている」
「言わなかったかしら。私は彼の秘書でもあるのよ」
「それは初耳だな」
エンジェルの話を聞いて内心警戒はした。
「今はじめて聞いたことだ」
「あらっ、隠してはいなかったけれど」
「しかし言いはしなかった」
言わなければわかることではないということだ。
「そうだな」
「随分意地の悪い見方ね」
「事実を述べたまでだ」
ロジャーはステーキの肉をナイフで切りながら述べた。
「私にとってはな」
「そう。貴方にとっては」
「そういうことだ。それでエンジェル」
「ええ」
「君がここに来た理由は私と食事を採る為だけではないな」
かなりストレートに彼女に問うた。
「そうだな。それは」
「わかっているのね」
「君が来る時はいつも何かが起こる」
ロジャーの言葉は普段より真剣なものになった。
「そう。今はその最中だがな」
「当たりよ。理由があって来たのよ」
彼女もここでは隠さなかった。
「貴方の前にね。ロジャー」
「それで何の理由なのだ」
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