第百十二話 赤い果実
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「だが」
「だが?」
「戦わなければならない時は戦う」
その声がさらにはっきりとしたものになった。
「それが今ならば。戦う・・・・・・!」
「どうしても謎を解き明かすつもりか」
「御前もまた知っているのか」
ロジャーは今のアランの言葉からそのことを察した。
「この街の秘密を」
「知りはしない」
アランはそれは否定した。
「しかし知る者を排除するのが私の仕事か」
「そういうことか」
「そうだ。だからこそロジャー=スミス、御前にはここで退場してもらう」
「生憎だが私の舞台はこれで終わりではない」
アランのマシンが動きロジャーもそれに対する。
「ここで退場するつもりはない」
「ならばこちらで幕を引かせてもらう」
アランは今度はこう言いながら攻撃を仕掛けてきた。
「これでな」
「むう・・・・・・」
ロジャーは攻撃を受け思わず呻き声をあげた、ビッグオーもダメージで一歩退いた。
「ロジャー」
「心配することはない」
だが彼はこう隣のドロシーに返すのだった。
「今こそ好機が」
「この状態で?」
「チャンスは時として危機にこそ訪れる」
ロジャーは今度はこうドロシーに返した。
「それが今なのだ」
「それじゃあ」
「そうだ。アラン」
ビッグオーはここで立ち上がった。
「私の出演はまだ続く。そうさせてもらおう」
「既に幕は私の手にあるのにか?」
「幕を下ろすのは一人とは限らない」
しかし彼はアランにはこう返した。
「そう。引き上げることも可能なのだ」
「では私に勝利を収めるつもりか」
「その通りだ。それではだ」
立ち上がっていたビッグオーはここで思いきり前に出た。
「やらせてもらう。行くぞ!」
「むっ!?」
「ビッグオー、ショータイム!」
ここでこの言葉を叫んだ。そして。
その腕で思いきりアランとそのマシンを打った。しかも一撃だけではない。
二撃目も入った。この二撃によりアランのマシンは動きを止めてしまったのだった。
「ぐっ・・・・・・」
「まだ生きてはいるか」
ロジャーはアランの声を聞いてそのことは悟った。
「だが。今はもう闘えない筈だ」
「くっ、確かに」
忌々しいことだがそれはアラン自身が最もよくわかることだった。
「残念だが、ロジャー=スミス」
そして彼に対して言う。
「私の負けだ。先に行くといい」
「ではそうさせてもらおう」
「しかしだ」
だが彼はここでまたロジャーに言ってきた。
「貴様は知らなくていいことを知っていくことになるかも知れない」
こう言うのである。
「若しかしたら。それでもいいのだな」
「人は知っていいことと知らなくていいことがある」
ロジャーは彼のそうした言葉に応えて言ってきた。
「しかし。知ればそれだけ得られるものがある」
「
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