第百十話 ネゴシエイター
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の人間とはな。空気が違っていた」
「その通りですね」
シュウもまたそれを認める。
「私はこの街とは根本的に異なる存在ですから」
「外の世界から。しかも別の世界から来たとはな」
「はい」
あらためてロジャーの言葉に応えるシュウだった。
「あえて隠していました」
「この街では外の世界のことは全く知られていない」
「つまりこういうことか」
シリウスは彼の話を聞いたうえで述べた。
「この街で完全に一つの世界になっているのだな」
「その通りだ」
ロジャーは彼にも言葉を返した。
「外の世界から来る人間もいることにはいるが」
「ですがその方法はあまりにも特殊です」
シュウはまた述べた。
「少なくとも私もネオグランゾンの力を使わなければこの世界に出入りすることはできません」
「そうなんですよね」
チカが主に続く。
「本当にね。こんな街ないですよ、おまけに外の世界のことを殆ど誰も興味を持ってないですし」
「それにです」
今度はレインが言う。
「この街は端に辿り着いても何か円形みたいで」
「つまり終わりがない」
加持も言う。
「まあ有り得ない街だな。街自体が地球みたいになってるんだからな」
「地球って」
ルナはそのことに首を傾げる。
「そんなことってあるのかしら」
「どう考えてもないでしょ」
ルナマリアがそれを否定する。
「幾ら何でも」
「そうよね。やっぱり」
「しかも四十年前の記憶がない」
アムロはこのことを指摘した。
「それは今の貴方の話からも確認できたが」
「私も知らない」
ロジャーもそれは同じだった。
「過去に何があったのかも一切わかっていないのだ」
「おかしなことばかりね」
恵子はそれを聞いて言うのだった。
「この街って。何が何だか」
「だからこそ私達はこの街にお邪魔したのです」
だがシュウはここでこう言った。
「全ての謎を解く為に」
「この街の謎を」
「解く!?」
「ロジャーさん」
またロジャーに声をかけてきた。
「それで御願いがあります」
「今度は仕事の話か」
「はい」
彼の問いにこくりと頷いた。
「その通りです」
「仕事の話は自宅でと決めているのだが」
「申し訳ありません。それでは」
「だが。今はいい」
今は、と付け加えたがいいとしたのだった。
「話を聞きたい」
「左様ですか」
「その仕事とは」
「この街の全ての謎を解くことです」
彼は言うのだった。
「それが依頼です」
「この街の全ての謎に」
「貴方も思っておられた筈です」
ロジャーの心を見るような言葉だった。
「この街はあまりにも不自然だと」
「・・・・・・・・・」
ロジャーはこの言葉には答えなかった。無言である。
「それがどうしてか。知りたいと」
「否定はしない」
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