第百九話 遥か久遠の彼方
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月は今断念した。
「少なくとも私はそれは」
「認めないというのか?我が子よ」
エルンストはその如月をじっと見て問うた。
「それは」
「かつてはそれでいいと思っていた」
如月はそれは素直に言った。
「しかし。今は」
「壊れたというのか」
「壊れているのは貴方だ」
こう言い返す。
「私は過ちに気付いた。だから今ここに」
「それでどうするつもりかね?」
「因果を終わらせる」
言いながら懐から拳銃を取り出した。
「これで貴方を」
「ふむ」
エルンストはどういうわけかその拳銃を見ても動じた様子はなかった。
「それで私を撃つのか」
「何もされないのですか?」
「撃ちたいのなら撃ち給え」
何とこう言うのだった。
「好きなようにな」
「!?何故」
「撃てばわかる」
彼はいぶかしむ如月に対して告げた。
「それでな」
「本当に宜しいのですね?」
如月は怪しむ気持ちを抑えられず彼に問うた。
「私は貴方を」
「何度でも言おう」
やはりその言葉は変わらない。
「撃ちたければな。好きなだけ撃つのだ」
「・・・・・・・・・」
「さあ、どうした?」
逆に問うてくる程であった。
「撃たないのか?私は逃げも隠れもしないぞ」
(罠か?)
如月がこう思った。その時だった。
「撃ってはならない」
突如後ろから声がした。
「君は彼を撃ってはならない」
「その声は!?」
「まさか!?」
如月だけでなくエレナも声をあげた。その声が。
「なっ!?声が」
「そうだ」
驚く如月に応える形でまた声がした。
「如月君、君はその老人を撃ってはいけない」
声の主は彼に対してまた言った。
「決して。撃つのは」
「撃つのは!?」
「私だ。そして」
その声の主は言葉をさらに続ける。そのうえで。
「撃つべき相手は。彼女だ」
言いながらその右手に持つ銃を放った。それによりエレナの胸を撃ち貫いたのだった。
「ぐふっ・・・・・・」
「またその声を・・・・・・」
「今の声。聞いた筈だ」
功刀が出て来た。声の主は彼だったのだ。
「既に心を乗り移らせていたのだ」
「心を」
「ノスフェラトゥというのは不死者の意味」
功刀は前に歩きつつ語る。
「その謎がこれだったのだ」
「他者に心を移らせそのうえで生き永らえる」
「その通りだ。青い血の一族の主としてな」
「青い血の」
「エルンスト卿」
足を止めエルンストと対峙をはじめた。
「貴方の野望はこれで終わる」
「貴様・・・・・・」
「これで。もうムーリアンは世界を支配することはない」
「裏切り者が・・・・・・」
「私は裏切ってはいない」
エルンストの忌々しげな言葉に落ち着いた態度で返した。
「ただ」
「ただ。何だ?」
「気付いただけだ」
こう言
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