暁 〜小説投稿サイト〜
故郷は青き星
第二十話
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られた電極パッドにより伝えられる軽い痛みや筋肉の収縮によっておきる圧迫感による触覚の限定的再現のみであった従来のVR機器とは一線を画すというか次元が違う仕様に、死に一倍でも借金して買わなければと思う。
「本当に凄い! 凄すぎる!! ……凄すぎないか?」
 余りに凄すぎて違和感を覚えた。他のサイトから情報ではVR機器関連の研究を行っているいう人物から「最先端と呼ばれるレベルから10年以上先を行ってる。そんなことはありえない」という意見が続出しているそうだった。
 1人の天才が時計の針を10年以上も進めてしまうような研究を行う事は今時はありえない。余程だれも手をつけないようなマイナーな研究テーマならともかくVR関連技術は盛んな研究分野だった。
 否定的な意見に「あれ? これ嘘?」と興奮に水を差された状態の芝山だったが、その後も気になりテレビのリモコンを持ってザッピングしてると、先程とは別のニュース番組でテレビ画面にノーベル物理学賞受賞者にしてVR研究の世界的権威という人物が現れ「ダイブギアは私が育てた!」と断言すると足早に記者会見の場から去っていった。
 芝山は「何だあの怪しい親父は?」と首を傾げるが、ネット上では「御大が出た!」「あの人が言うなら本当なのかもしれない」と掌を返したように意見が裏返っていく。
 本当に世界的権威と呼ばれる人物だったと確認が取れた頃には、今回の発表は信憑性が高いという意見が大勢を占めていた。
「とりあえず、バイトして金作っておこう」
 ダイブギアの説明の中にあった「現実と区別がつかないシミュレート世界」という言葉に、何かが始まったという気持ちに芝山は自然に笑顔を浮かべていた。


「こんにちは柴田君」
 少し神経質そうなメガネの青年が軽く手を挙げて挨拶してきた。
 柴田(芝山)の最初のログイン時以来、ゲーム内で行動を共にするようになった山田鷹二だった。
「ああ、こんにちは山田君。今日は尾津さんはまだなんだ」
「尾津は20分位は遅れると言っていたから、飯でも食いながら待つかい?」
「うん、良いね」
 柴田は山田、そして尾津とフレンド登録して以来、3機編隊ケッテ(Kette)モドキを組んで多大な戦果を上げ続けエースと呼ばれるだけの実力を示してきた。
 それが出来たのも、山田と尾津の2人と馬が合ったとしか言い様が無い。自由に宇宙を飛べる翼を手に入れたのにも関わらず、独りで飛ぶよりも3人で飛んだ方がより自由でいられる気がし、そんな得がたい仲間と出会えた事をうれしく思う。

 食堂には前回の出撃から戻ってきたプレイヤーが沢山集まっており、自分達の戦果を自慢しあう声で少々騒がしかった。
「それでさ、そろそろ戦果ポイントも貯まったことだしSF/A-302に乗り換えるべきだと思うんだ。SF/A-302なら今
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