第二十話
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
で?」
「学者達は『この宇宙には生命が多すぎる』というのです。本来生命が発生する確率はもっと低く、生命が生まれる可能性のあるような環境を持つ星といえども、必ずしも生命が生まれて根付くわけではない。ところが実際には生命が生まれる環境を持つ星には生命が生まれ根付いている場合が、彼等の計算よりも遥かに高い。この矛盾を埋める理由として考え出されたのが【種蒔く者】なわけです」
「確かに、同じような事は地球の学者たちも言っていますな。1つの星に生命が誕生するというのは奇跡だと。この銀河系に地球と同じように生命が誕生し文明を築くまでに進化した種が生まれた星が存在する可能性は0ではないが決して多くないと……連中が連盟の存在を知った時にどんな顔をするか楽しみですな」
「多分『まだ我々が知り得ないファクターが存在しているはずだ』とかえってやる気を出して研究に精を出すんじゃないでしょうか?」
「そのファクターが【種蒔く者】という訳ですな」
「はい。何者かが生命の誕生に適した環境が整った星へと赴いて、生命の誕生に必要なトリガーとなるアミノ酸を海へと溶かし込んだ。もしくは環境自体を整えていたのかもしれないとという考えですね」
「まさか……それでは【種蒔く者】は神とでも言うのですか?」
「つまるところは学者達の研究と事実の乖離を埋めるために捏ねくり出された仮定としての存在です。ですから伝説の類なのですよ。ところで大統領は神を信じていないのですか?」
「勿論神は信じています。神はいつでも私のここに居られるのだから」
アルバン大統領は自分の胸を叩きながら笑った。
『Deep Space War Online(DSWO)』の名前を人々が耳にしたのはその一ヵ月後の2030年1月のことだった。
同調装置は、パイロット資格を持つ──パイロット適正値が20を超える成人には、本人が望まなくても自動的に与えられる──連盟加盟国国民に携帯が義務付けられるので、本来の機能以外にもあれば便利な機能が満載されていため、エルシャンがフルント星で使っていた連盟標準タイプの同調装置から基本的機能以外を削ぎ落とした簡易タイプに『ダイブギア』と商品名が与えられた全感覚対応のSR(Simulated Reality:シミュレーテッドリアリティ)機器と共に発表された。
「これは買いだ!」
芝山浩──第一話・第二話の柴田浩二の本名──は、ダイブギア関連の情報を流すニュース番組を映すテレビ画面に向かって叫ぶと、携帯情報端末を取り出すとネットに繋ぎダイブギアとDSWOの情報を集め始める。
「マジで全身の触覚だけじゃなく嗅覚や味覚まで再現するのかよ。凄い! 凄いぞ!」
公式ページで発表されたスペックの一つ一つが彼を興奮させるに値するものだった。聴覚と視覚。そして手足と胴体に取り付け
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ