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第四話 百年後、異世界
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していたスプーンを引っ込め、すいっと自分の口に運んでしまう。
「んー!おいしー!!」
アリスはこれでもかと言うほどの満面の笑みを浮かべる。
その笑みには誠也の眼の錯覚だろうか、してやったりという言葉がはっきりと原子できてしまうような笑みであった。
誠也はがっくりと肩を落とす。
誠也の中でおそらくこうなるであろうことは、なんとなく予想がついていた。
アリスはかなりのいたずら好きなのだ。
だからこういう意図があるのだろうと思っていた。思っていたのだが。
やはり欲望には抗えず、一縷の望みにかけて食らいついていた。
「ふふーん。誠也はいやしいな〜♪」
「ぐぅ………。」
満面の笑みで勝ち誇られても、何も言い返すことができない誠也。
心に屈辱を感じつつも空腹を耐え凌ぐため、もう一度机に突っ伏そうとする。
「誠也君、アリスちゃん、こんにちは。」
「あ、ひさめ〜。」
「ひさめか………。」
胸のあたりまで伸ばした長く濃い茶色の髪を後ろで一つにまとめた少女がそこに居た。
「ねーねー、聞いてよ、ひさめ〜。誠也ってばねー。」
「ん。ちょいまってアリスちゃん。わたしが当てて見せるから。」
ひさめと呼ばれた少女に嬉々として誠也の現状を話そうとするアリスを制止するひさめ。
そんな火サメは顎に手を当て、誠也の現状について考える。
三十秒ほど思考した後、ひさめが口を開く。
「んーと、出動命令かけられて、本来ならオペレーターのグレイル君の指示を待たなあかんところを独断専行。」
「ぐはっ。」
「で、調子に乗ってアクセルシューター連発。」
「ぐひっ。」
「最後の最後にグレイル君の制止を振り切って無許可でのスターライトブレイカーを使こて、大損害。」
「ぐふっ。」
「そのせいで局長から三カ月の減給を言い渡されたってとこかな。」
「ぐへっ。」
そんな、ひさめの当事者かとすら思えるくらい正確な事実に、誠也はダメージをくらいノックダウン寸前の状態になっていた。
「あれ?もしかして………図星やった?」
「ぐほっ。」
ひさめの最後の一言に誠也はKOされた。
「そ、そんなに分かりやすいのか、俺………。」
幼馴染で互いを良く知る間柄とはいえ、まさか自分の問題行動をここまで言いあてられるほど自分が分かりやすく、そしてそういった目で見られているのかと思うとかなりのショックであった。
「日頃の行動が悪いわね、誠也♪」
「自業自得やで、誠也君♪」
「ぐぬぬ………。」
二人の勝ち誇ったような満面の笑みに何も言えない誠也。
確かに、確かにだ。誠也の問題行動は割と多い。
それは二回の年間減給に現れているから、ただの事実である。
しかしだからと言ってここまで正確に事実を当てられるものだろうか。
いや、普通は無理だ。もし言いあてるのならば、それこそ
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