第十七話 甲子園にてその十七
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「楽しくね」
「ああ、そうするか」
「最後の最後までね」
他の三人も応える。そうしてだった。
五人で試合を観た、試合はそのルーキーが好投し五回まで無失点だった。そしてその五回裏にだった。
先頭バッターはそのルーキーだ、琴乃はヘルメットを被りバッターボックス、右のそこに入る彼を見てぽつりと呟いた。
「いいピッチャーって打つのもいいけれど」
「よく言われるわよね」
彩夏がその言葉に応える。
「それって」
「そうよね。けれど実際に打ってくれるピッチャーってね」
「有り難いわよね」
「九番でも打順の中にいるから」
それならというのである。
「やっぱり打ってくれないとね」
「困るわよね」
「そう、チームの為にも」
琴乃は切実な顔だった。
「というか阪神って本当に打たないから」
「自分の白星は自分で稼げってことね」
「そう、そういうことになるから」
「打ってくれないと困るのね」
「セリーグには指名打者もないし」
パリーグだけの制度だ。これが出来てパリーグの野球戦略はかなり変わった。
「だから余計にね」
「打ってくれるピッチャーじゃないと」
「勝てないのよ」
言葉は実に切実なものだった。
「これがね」
「そうよね、本当にね」
彩夏もまた切実な顔で琴乃のその言葉に頷く。
「ピッチャーであってもバッターだし」
「九人目の野手でもあるしね」
「五人目の内野手よね」
「ピッチャーって投げるだけじゃないのよね」
琴乃もこのことはよくわかっていて言うのだった。
「守って打ってね」
「そして走って」
「そういうことよね」
「そう。だから打つのも」
それもだった、結局のところは。
「頑張ってくれないとね」
「勝てないのよね」
「というかね、巨人の補強は何があろうと汚い補強だけれど」
琴乃は正論も述べた。何故巨人の補強は必ず汚い補強になるのか、それは巨人が日本国民共通の敵であり紛れもない打倒すべき悪だからだ。
「阪神の補強は絶対に奇麗な補強なのよ」
「そうそう、そうなのよ」
「巨人に強奪されそうなスラッガー解放するとか」
邪悪巨人からである。
「そうすればいいのに」
「同感よ、それは」
「どうせ巨人に行っても数年で粗大ゴミ扱いになるから」
「あれ絶対にそうなるわよね」
「外様に厳しい球団だからね」
監督は必ず生え抜きのスター選手出身でなければならない、まるで古代の神権国家の様な古臭い考えである。
「あそこは」
「本当jに厳しいわよね」
「巨人ってのは閉鎖的なのよ」
彩夏は言った。
「だからそんなチームjに負けない様に、悪を許さない為にね」
「強奪されそうな選手は阪神が引き取ってあげてね」
「活躍してもらいたいけれど」
「難しいわね、本
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