第五百五十五話
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第五百五十五話 魔法にも
マラソン大会の後も六人で今田先生の塾での魔法の勉強は続けられていた。先生は美奈子の魔法を見て言った。
「あら、美奈子さんの魔法変わったわね」
「えっ、変わりました?」
「ええ、変わったわ」
先生はにこりとして美奈子に話す。
「とてもね」
「どんな風に変わりました?私の魔法」
「粘りが出てきたわ」
「粘りがですか」
「そう、美奈子さんの魔法は音の魔法だけれど」
具体的には音楽を使う、そこから精霊等を召喚してそのうえで戦うこともする。
「前は淡白な感じだったのよ」
「淡白っていいますと」
「駄目だったらすぐに別の曲にしてたわよね」
「あっ、そうですね」
美奈子も先生に言われてそのことに気付いた。
「私諦めのいい方でして」
「諦めが早いことはいい場合も多いけれど」
「そうでない場合もあるんですね」
「ええ、そうなの」
先生は笑顔で美奈子に話す。先生はここでも笑顔なのだ。
「けれど諦めない方がいい場合もあってね」
「それでなんですか」
「その辺りの見極めをすることも大事だけれど」
このことは難しい、そうおいそれと出来ることではない。
それで先生はこのことは置いておいて美奈子に言うのだった。
「諦めないことも大事なのよ」
「諦めることと一緒に」
「美奈子さんは魔法にそれが出て来たわ」
「それが粘りなんですね」
「魔法も粘りがあると違うの」
これが先生の言いたいことだった。
「幅が出来て深みも備わってきてね」
「いいんですね」
「これからもその粘りを忘れないでね」
「それで魔法を使っていって」
「頑張っていってね」
先生はここでもにこりと笑って美奈子に話した。
「そうしてね」
「はい、わかりました」
美奈子は先生のその言葉に頷いた、そしてだった。
実際にここでフルートを吹いて音の魔法を使う、今回は音符がそのまま出て来て音楽に合わせて踊る魔法だがその動きは。
これまでよりよかった、リズミカルでそれでいて難しいところでテクニックではなく精神的なもので通る、そうしたことも備わっている魔法になっていた。
美奈子もそれを実際に見て先生に言う。
「このままいけばいいんですね」
「その気持ちを忘れないでね」
先生もそう応えて美奈子を見るのだった。
第五百五十五話 完
2012・12・29
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