第十三話 鏡月
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て真っ先に、そんなことを飄々と口にした。
……ザサーダと繋がりがあるやつが、まさか最後とはな。
しかも厄介なことにオレンジポインターだ。
「……俺も知らない間に有名になったもんだな。 全く嬉しいことじゃねぇが。
で、だ、アイテムを寄越す条件はなんだ?」
ロクなことにはならないとわかっていても、俺はそれをとっとと聞くことにする。
どうせ今聞いても後聞いても同じことだ。
相手が今この場でアイテムを出そうものなら、すぐに力づくで奪えばいい。
オレンジポインターが相手なら、最悪、剣を抜くこともありえる。
兎に角、先の失敗を見習って相手にアイテムを出させないことが第一条件だ。
だがそんな俺の考えとは裏腹に、相手はニコニコと笑いながら口を開ける。
「察しが良くて非常に助かります。 もちろん、ただであげるわけにはいきませんので、当然こちらからも条件を提示させて頂きます。
とは言え、ここまで来て簡単な課題では拍子抜けでしょうし。 何より面白くはありません」
そこでソイツは一度区切り、手を後ろで組みながら、何歩が考えるように歩いた後。
「ふむ。 いいアイデアを思いつきました。 これならば、ザサーダ教師より言伝された条件とも合っていますし、これにしましょう」
ソイツはそう呟くと、俺の方へと向き直り、その場で大剣を装備した。
あの大剣は……メトゥラシエン。
比較的レアで、市場じゃ5M程度で取引される高級大剣だ。
そいつを装備するってことは……。
まさか、ただ見せびらかすだけってことはねぇハズだ。
無言で俺も大剣を構えると、目の前の男は営業スマイルのような優しい微笑を浮かべると。
「察しがよくて助かります。 では……野外試合といきましょうか」
それだけを言い放ち、一歩を踏み出した。
軽やかに踏み出されたようなその一歩は。
着地と共に、ミシリと重い音を響かせたかと思うと。
次の瞬間、その体は、ロケットのようにこちらへと文字通り、飛んできた。
たった一歩で飛行するほどの跳躍。
「……ッ!」
あれこれ考える前に、体が反応し、その一撃を受け流した。
その直後に、遅れたように、脳裏に過ぎる幾つもの疑問。
今のはなんだ……?
アバンラッシュ……にしてはエフェクトがなかった。
それに、あの瞬発力はアバンラッシュを軽く超えている。
いや……待て、エフェクトがない……?
スキルじゃないってことか?
いや、あんな瞬発力はスキルでないとまともに……。
そこで、思考が凍りつく。
同時に、ソイツの方を向くと。
ソイツは、相も変わらず営業スマイルのまま、大剣を再び構える。
だが、先ほどと違うことが一つある。
それは、『構え』だ。
その構えは……大剣の構えじゃない
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