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ヴァレンタインから一週間
第9話  第何種接近遭遇?
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女の雰囲気を少女から一歩先へと進めているかのようで有った。

「俺は、古き龍の血を継ぐ一族の末裔。もっとも、三年前に色々と有って、残ったのは俺一人だけやけどな」

 もう終わった事件を淡々と告げる俺。
 そんな俺の言葉を、黙って聞き続けてくれる長門。ただ、何故か、三年前と言った時に、かなり驚いたような気を発したのですが……。

「それで、向こうの世界では、龍種の互助会的な組織……水晶宮と言う組織に所属していたんやけど、長門さんは聞いた事がないかな?」

 俺の問いに、首を左右に二度振り、否定を示す長門。
 もっとも、この答えは想定内。そもそも水晶宮の存在など、ある程度、異界に近い世界に生きて居る人間で無ければ知って居る訳は有りませんから。
 それに、長門自身が、どうも人付き合いに長けた様子はないので、余り他者との接触をした事がないと推測出来ましたから。

 おそらくは、自らと彼女のバックアップ。それに、彼女の造物主ぐらいしか知らないのでは無いかと思いますからね。

「それなら、この話はここまで。俺は龍種。人に擬態した龍。それが、俺の正体。但し、人間体から龍体に変わると、二度と人間に戻る事は出来ない半端な龍種やから、伝説上の龍神の能力を完全に再現出来る訳ではない」

 師匠から、龍体に成った場合は自分では戻る事は難しいと戒められて居ますから。
 確かに、伝説上に語られる龍神の能力が有ったなら、これから先の事態に対して、多少は楽になるとも思うのですが……。
 流石に現実は厳しいと言う事ですか。

「そうしたら、今日、判った事についての説明に移るけど、構わないな?」

 水晶宮がこの世界にないとすると、すべて俺が行う必要が有るのでかなりの厄介事のような気もしますが……。
 もっとも、明日、水晶宮の表の顔の方が有るかどうかを調べてから、水晶宮の事については判断しても遅くはないですかね。

 そんな事を考えながらの俺の問い掛けに対して、当然、拒否する理由もないので、長門はコクリとひとつ首肯く。

 そもそも、この異常事態。俺が異界より流されて、長門の造物主やバックアップとの連絡が途絶えた事件を解決しなければ成りませんから。

「この異常事態を引き起こしている原因が、今日、図書館で見つけた伝承と関係が有るのなら、それは……」

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