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ヴァレンタインから一週間
第9話  第何種接近遭遇?
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得意」

 そんな俺の行動を見つめていた長門が、短くそう言った。
 これは、少々の覗き行為が有ったとしても大丈夫だ、と言う事なのでしょう。
 もっとも、彼女が何の情報を操作する心算なのか判りませんし、どの部分の情報を操作する心算なのかも判りませんが。
 そもそも、そんな事が可能なのでしょうかね。

 現実の長門の部屋ではない、違う部屋の映像をガラスに映し出して、その映像を、今まではデバガメたちに見せて居たとでも言うのでしょうか。
 まさか、見も知らないデバガメたちの記憶の操作が出来るとは思いませんから、その辺りの情報操作なのでしょう。

 ただ、それよりは、

「成るほど。それやったら、俺の外見をもう少し、女性受けするイケメンに情報操作してくれると有り難いな」

 新しいカーテンを、外側から覗きたい放題と成っていたベランダに続く窓に取り付け中の俺の、そんな軽口に等しい台詞を、職務に忠実な図書館の司書めいた静かな表情で聞いていた長門が、少し微妙な気を発してから、首を横に振った。
 ……って、おいおい。

「まぁ、そんな情報操作など行わずとも、カーテンで一般人レベルのデバガメは拒絶出来るし、魔術的、科学的な覗きも、結界術をすり抜ける事はない」

 情報操作で俺をイケメンにすると言う、俺的には非常に魅力の有る申し出を真面目な顔で全否定された事は……忘れたいけど、微妙に心の傷(トラウマ)と成って仕舞った感が有るのですが……。
 それでも、二枚のカーテンを窓に取り付ける事で、ある程度の覗き防止効果は有るはずですか。

「俺は大ざっぱなように見えても、実は繊細でな。昨夜からデバガメの視線が気に成って仕方がなかったんや」

 気分的にはかなり落ち込んだ陰に属する気分で、長門に対してそう答える俺。そう、全ては鬱陶しい、この変態のデバガメ野郎共が悪い。
 そう、思い込みながら。
 それに、一般人に等しい連中でも、視線には僅かなりとも魔力が籠る物。そして、雑多なそのような気配も、ここに俺が現れてからずっと続いていたらウザく成って来ても当然でしょう。

 俺の言葉に、何か思い当たる原因が有ったのか、少し考えた後に、長門が小さく首肯いた。
 成るほど。この世界も、俺が住んで居た世界のように、色々と事情が有ると言う事なのでしょう。
 それに、長門の事を邪神の眷属として、斬り掛かって来る術師の女の子が居るぐらいですから、彼女、長門有希の周りに何か。監視網のような物が有ったとしても、不思議では有りません。



 そして、夕食が終わり、入浴を済ませた後。

「そうしたら、先ず、俺の正体についての説明からかな」

 コタツの対面側に座り、真っ直ぐに俺を見つめ続ける少女。乾き切る直前の髪の毛と僅かに上気した肌が、彼
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