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ヴァレンタインから一週間
第9話  第何種接近遭遇?
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た訳やし、さっきも助けた」

 それに、誰だって同じ事をすると思いますよ。無意識で有ろうと、意識してで有ろうとも、知り合いが危険に晒されていたのなら、とっさに手を差し伸べるくらいは。
 いや、知り合いでなくとも、それぐらいは当たり前の事ですか。

 あの夏の日の登山中に、見も知らない他の登山者たちが、背後から接近していた落石の存在を、俺に報せてくれたように……。

「そう言う訳やから、長門さんに、自らを助ける必要はない、と言われたトコロで、俺は、俺の能力の及ぶ範囲内ならば、俺の思うように行動する」

 多分、彼女が言いたかったのは、自らの所為で危険な事を行う必要はない、と言う事だったのでしょうが、その部分を、まるで俺自らの我が儘で行う事だから放って置いてくれ、……と言うかのような論法で退ける。
 ただ、本当に彼女に理解して欲しかったのは、彼女の生命の価値について。

 異世界より流されて来て、たった一人、俺……武神忍と言う人間を知って居てくれる長門有希と言う人間の生命が、俺に取っては、そんなに簡単に失われて良い物ではない、と言う事を知って貰いたかったのですが……。
 俺の事を知って居る相手が居なくなると言う事は、この世界に置ける俺自身が消滅すると言う事に等しい事なのですから。

 もっとも、その事については、出来る事ならば俺の口からではなく、彼女自身が気付いて欲しいですから、台詞にする事は有りませんでしたが。

 俺の言葉に納得したのか、長門は小さく首肯く事に因って、肯定と為した。
 俺の言葉の真意に気付いたのか、それとも、気付く事は無かったけど、彼女を護ろうとする俺の意志は理解出来た、と言う事なのかは定かでは有りませんが。

「そうしたら、部屋に戻ろうか。こんなトコロに長居をして、風邪でもひいたらアホみたいやからな」

 三度目の問い掛けに対して、真っ直ぐに俺を見つめた後、長門は小さく首肯いて答えてくれたのでした。


☆★☆★☆


 室内に漂う国民食の良い香りが鼻腔を擽り、嫌が上にも食欲を煽る雰囲気が出来上がる。

 今晩の夕食の献立は、長門のリクエストに因り、カレーと成ったのですが。
 まぁ、俺に出来るのは、キャンプに付き物の大なべで大量に作るカレーなのですが……。
 それに、野菜類をペースト状に成るまでミキサーに掛けてから料理を作れば、一晩置いたカレーと大差のない状態にする事が可能なので、これで彼女のリクエストに答える事は可能だと思いますしね。

 尚、料理程度に魔将アガレスの能力を使用するのは、流石に、鶏を割くにいずくんぞ牛刀を用いん、の言葉通りと成るので……。
 ちなみに、カレーの内容は普通のチキンカレーですよ。

 それにしても……、

 俺は、長門の前に置かれたカ
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