第六話「恋人候補は媛巫女」
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するための儀式として全国から選りすぐりの巫女を集めるという暴挙に出た。
当時、偶然その国に家族で旅行に来ていた俺たちは突然膨れ上がった呪力を感知。
まつろわぬ神が降臨しようとしているため天変地異が起こるは魔術結社の雑魚どもが騒ぐわでデートどころの騒ぎではなくなった。
大切なデートに水を差された俺は腹いせに主犯の小僧を軽くぬっ殺したのだが、図らずともそれが事件に終止符を打つ破目となる。その時に偶然助ける形で知り合ったのが、たぐい稀な霊視力を持つため日本から拉致された祐理だった。
――実は祐理の他にもう一人、知り合った人物がいるのだが、それはまたの機会に紹介しよう。今は日本に居ないしな。
当時はそれ以降、祐理と会うこともないだろうと踏んでいたのだが、何の因果かその後もちょくちょく顔を合わせることになった。
元々、向こうはこちらに好感を持っていたらしく親身に話し掛けてくるようになり、俺も段々彼女の淑やかでいて芯のある内面や大和撫子を体現したような容姿に惹かれた。
「そして、彼女に告白したのが先月のことです、と」
まだ返事は貰っていないが反応は上々だと思う。告白した当初は驚きのあまりパニックになる寸前だったため、返事は自分の気持ちに整理がついてからでいいと告げている。こちらは始めから長期戦の姿勢で臨んでいるんだ。気を長くして待つさ。
ちなみに、祐理の家族との関係も良好である。祐理の妹は俺を『兄様』と呼び、実の兄のように懐いてくれている。両親も当初は相手がカンピオーネであり、しかも【海堂蒼蓮】であることを知って失神寸前だったが、今では幾分か緩和している。まだ態度が硬い印象を受けるが、そこは仕方ないと思って諦めているけど。
祐理は巫女として素晴らしい資質を持っている。彼女ほどの霊視力を持つ者は俺の人生の中でも片手で数えるくらいしか記憶にない。しかも祐理はただの巫女ではない。【媛巫女】だ。
主に関東一帯を霊的に守護する呪術師、その中でも高位の女呪術師に対し【媛】の称号が与えられる。【媛巫女】は巫女の中でも高位に位置する存在だ。
日本には幾人もの媛巫女が存在するが、祐理は群を抜いており、彼女の霊視力は真名を見破ったり、神々の歴史を覗き視る力を有する。
そのため、祐理の霊視力を利用しようと多くの馬鹿どもが彼女を虎視眈々と狙っている。四年前のあの小僧のように……。
「――いや、狙っていたというべきだな。今は俺がついてるし」
もし祐理を狙うような愚者がいたら、殺して生き返らして殺しての無限地獄を味わしてやる。
肩を震わせてクツクツと嗤っていると、傍を通り掛かった猫が毛を逆立てて来た道をUターンし
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