第六話「恋人候補は媛巫女」
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済んだ。いつもなら最低一時間は続くのだが、この場には俺たち以外にも人がいることを思い出した祐理は、顔を赤くして甘粕とやらに向き直った。
「大変お見苦しいところをお見せしました……」
「いえいえ。こちらも、まさか姫巫女が海堂様と結ばれていらっしゃるとは露とも知らず。大変失礼いたしました」
畏まった様子で頭を下げる甘粕に祐理が慌てて面を上げるように言った。
「蒼蓮さんとはまだそのような関係では……」
「そうなのよねー、いつになったら返事をくれるんだろうねー?」
「あなたは黙っていてください!」
「……あい」
一喝する祐理と押し黙る俺を興味深そうに見ていた甘粕は改めて姫巫女に向き直った。
「では確認しますが、草薙護堂と神具の鑑定をお願い致します。愛人の件につきましては別の者を宛がいますので」
「承りました」
丁寧に頭を下げる祐理の隣で、ボソッと呟く。
「草薙はカンピオーネだぞ?」
「はい?」
「えっ?」
キョトンとした目で見てくる二人。祐理が淹れてくれたお茶を飲みながら言葉を続ける。
「いやー、実は昨日ローマで草薙とやり合ってね。本人はまだ権能を掌握しきれていないようだけど、あれは間違いなくカンピオーネだ。将来が楽しみな少年だよ」
「やり合ったって……怪我は!? お体は大丈夫なのですか!?」
心配そうに俺を見上げる祐理。
「おう、無傷さ。神殺し歴一年もしない若造に後れをとる俺じゃないさ。耄碌した覚えもないしな」
ホッと安堵の吐息を溢す祐理の頭を撫でながらカラカラと笑った。
「そうでしたか。では神具の方は確認されましたか?」
「いんや、そっちの方は見てないな。けれどエリカが呼びつけたんだから何か知っているだろう。後で聞いてみるわ」
「王の手を煩わせて、申し訳ありません」
低頭する甘粕。
「別にお前のためじゃないし。祐理のためだ」
妙に気恥ずかしく感じた俺はお茶を一口飲み、祐理の方を見る。
「うっ……!」
そこには表情は笑顔なのに目は全く笑っていない巫女さんの姿があった。
「甘粕さん。申し訳ありませんが今日のところはこれで失礼して頂けますか? 少々こちらの人とお話がございますので」
「わ、わかりました。では、私はこれで。本日はお時間を頂きありがとうございました」
祐理の言葉にそそくさと退散する甘粕。室内には俺と巫女さんの二人だけとなった。
「ゆ、祐理さん……?」
「蒼蓮さん」
「はい!」
静かな声なのに
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