第六話「恋人候補は媛巫女」
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祐理の身に危機が迫っている、と悪い予感に駈られて急いで七雄神社に向かった。
気配を頼りに祐理の元に辿り着き、彼女の身に変化がないことに一先ず安堵する。そこで初めて、室内には俺たち以外にスーツを着た男が一人いて、しかも何故か壁に頭をぶつけて倒れていることに気がついた。
「そ、蒼蓮さん? どうされたんですか、急に」
「おう。いやな、悪い予感がしたから急いで来たんだ。そしたら何故か男は倒れているし。これ、どういう状況?」
これまでの経緯を話す祐理。全てを聞き終わった俺は一つ頷いた。
「なるほどなるほど。草薙とその神具の鑑定に、草薙の愛人にねぇ……よしわかった。コイツ殺そう。んでもって委員会潰そう」
バキバキと手を鳴らしながら男に近づく俺に、慌てて祐理が割り込んだ。
「いけません! 無闇に暴れるのはお止めになるように言いました!」
「でもコイツら、要は祐理を人身御供にしようとしたんだろ? そんな狼藉許せん!」
「それでも人を殺めるのはダメです! あっ、私のために怒って下さるのは嬉しいですよ? でも、だからといって――」
「いたたたた……何なんですか一体?」
鼻を擦りながら起き上がる罪人。俺の顔を見るなり顔色を変えた。
「これはこれは、海堂蒼蓮様ではないですか。お初にお目にかかります、私は――」
「貴様の名などどうでもいい。それより今すぐ辞世の句を決めろ」
「……え? あれ? もしかしてお怒り、ですか?」
「当然だ。貴様は――いや、貴様らは俺の恋人候補を草薙の愛人にしようとしているらしいな?安心しろ。お前を殺ったら、すぐに他のお仲間も冥界に送ってやるから」
「蒼蓮さんっ! 何度言えば分かるのですか! それはダメだと言っているでしょう!」
眉を吊り上げた祐理が諌める。
「しかしだな――」
「口答えしないっ!」
「――はい」
正座を強制させられ、そのままお説教タイムへと突入する祐理さん。いかん、祐理さんの背後に夜叉が見える。こうなったら頑固なんだよな。
「あの、お二人方はどのような関係なのですか?」
「俺が告白して返事を待つ関係だ。祐理は渡さん! 仏の顔は三度までだが、俺の顔は二度までだ。よく覚えておけ」
「蒼蓮さん! 誰が口を開いて良いと言いましたか!?」
「……あい、すみません」
愛する妻たちよ。恋人候補が怖いです……。
† † †
説教は三十分と比較的短く
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