第五話「正史編纂委員会」
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。ちなみに俺はそこの理事長でもある。ただし事務仕事が面倒なので全て理事長代理に丸投げしているがな。寄付金の八割は俺が出しているんだから文句はあるまい。
鏡花がフフンと鼻高々に隠していた答案用紙を見せる。どこから取り出したんだ?
「へぇ、全教科九十点台だなんてやるじゃない」
「ほー」
確かに意外だ。鏡花も決して馬鹿ではないが、かといって勉強が得意というわけでもなく、平均点を維持する程度の学力だったはず。それがここまで力をつけるとは。
「ふふっ、鏡花ちゃんたら蒼蓮さんに驚いてほしくて必死になって勉強したんですよ。私とシリアちゃんに勉強を頼んでまでして」
微笑みながら娘と手を繋いだ小夜香がリビングに顔を見せる。
「お帰りなさい、蒼蓮さん。エリカさんたちも」
「おう」
「ええ、ただいま」
「お邪魔しています」
頭を下げるアンナに優しく微笑む。
「いいえ。貴女も私たちと同じく蒼蓮さんを愛す者、いわば家族です。なら貴女にとってもここは我が家ですよ」
「そうだぞアンナ。お前も俺の女なんだから、名実ともに身内なんだよ。ところで、その鏡花の勉強とやらをもっと聞かせてくれよ」
「ちょっと蒼っ、聞かなくてもいいわよ! 紗耶香さんも話さないで!」
「なら私が喋っちゃいましょうか。鏡花ちゃんったら、前々から蒼蓮さんを驚かせたくて、夜な夜な私と紗耶香さんに勉強を教えにもらいにきていたの。私からは現国と英語と数学。紗耶香さんからは社会と化学を教えてもらってね」
「シリアさん!」
コロコロと笑うシリアに鏡花が肩を落とす。
「お前、日本人なのに現国をシリアに習うって……」
それは日本人としてどうなのよ。見ればエリスは口元を押さえて笑いを堪えているし。
「だって難しいんだもの! シリアさんの方が得意だって聞いて私も落ち込んだわよっ、バカ!」
「あーはいはい、すまんすまん。別にバカにしてるわけじゃないから。ま、ここまで頑張って点数が上がったのは事実なんだし、何かご褒美でも――」
「えっ、ご褒美!?」
途端に目を輝かせた鏡花に内心苦笑する。意外と現金な奴なんだよな。
「なんでもいいぞ? 南星堂のケーキ全種類でも」
「それは魅力的だけどカロリーが高いからダメ! ……今度の日曜、一日デート権なんかはどう?」
チラチラと俺の顔を見上げながら恥ずかしそうに呟く。懐かしい単語に思わず目を細めた。
「一日デート権か、懐かしいな……。まだ皆が恋人だった時によく活用したっけ?」
あの時は互いに角が立っていたため、何かと競
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