暁 〜小説投稿サイト〜
戦国御伽草子
弐ノ巻
霊力

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のか、おくびにも出さずに高彬はあたしの両腕を取った。



「兄上!」



「兄上、ね…」



あたしが思わず言うと、高彬がぼそりと低い声で呟いた。



「兄上兄上兄上あにうえ…瑠螺蔚さんはいつもそうだ!何かあると俊成(としなり)殿に頼って…。でも、僕ももう瑠螺蔚さんに庇ってもらうだけの(わらわ)じゃないよ。こうして、瑠螺蔚さんを守ることもできるんだ。好きだ、瑠螺蔚さん。ずっと好きだったんだ…」



あたしは思わず動きを止めた。



動きだけじゃなくて思考も停止。



高彬は恥ずかしそうに少し笑って言った。



「一生大事にするから、僕の妻になってください」
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