暁 〜小説投稿サイト〜
戦国御伽草子
弐ノ巻
霊力

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ったか知らないけど、怒鳴ることないでしょ!?」



「瑠螺蔚さんは口を出さないでくれ」



高彬は打って変わった低い声で言った。



けどそんなの、怖くないんだからね!



「出すわよ!どんな理由があったとしても、大の男がこんなか弱い女の子泣かせるって、あんた恥ずかしくないの!?」



「瑠螺蔚様!」



隣の由良がいきなり声をあげた。



ん?と首を向けると、由良は涙を零しながらも首を振った。



「瑠螺蔚様、私は大丈夫です。ですから、お願いですから、兄上様をお責めにならないでください。お願いいたします」



そう言って更に泣いた。



「…」



由良が優しいのはわかるけれど、そう言われても高彬に非難は向く。



「由良、案内(あない)ありがとう。もういいから、室に戻って」



「はい」



あたしがそう言うと、由良は涙を拭い拭いさがっていった。



「高彬」



高彬はあたしを見ずに顔を背けていた。表情は怒りと言うか、不機嫌丸出しだ。



でもあたしだって怒ってるんだからね!



「…体調は、大丈夫なの」



ぶっきらぼうに高彬は言った。



「体調?」



高彬がそんなだから、あたしも自然とぞんざいな声になるのは仕方がないと思う。



大体、体調って何よ?あたし別に風邪ひいてるわけでもなんでもないんだけど。



「川に飛び込んだろう」



「それは…!」



あたしはカッとした。



こっちの事情知らないのはしょうがないけど、好きで飛び込んだわけじゃないからね、あほんたれ!



昔でも野洲(やす)川なんて流れが急で、自分から飛び込むなんてしてないのにこんな大きくなって川遊びなんてするわけないでしょ!



「…体調は大丈夫です。気遣ってくれてありがとうございましたっ!でもね、あれは」



力み勇んで本当のことを言おうとしたけどふと思いとどまった。



うちに忍び込んだ奴と短刀で戦って逃げ場なくて川に飛び込んじゃった〜なんて本当のこと言ったら、また真面目一本な高彬のお説教が延々と続くのでは…。終わったことなのに無駄に心配させるのも嫌だし。



それだったら誤解されてるぐらいで、まぁいっか?



「あれは、何」



「あれは、あれは…えーと落ちちゃっただけなのよ。飛び込んだなんて言われると心外だわ」



「ふうん?僕には瑠螺蔚さんが自分の足で飛び込んでるよ
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