第8話 邪神の眷属
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ートを纏いし少女。そして、
「本気か、そうで無いかの見分けぐらいは付く。先ほどおまえが示した覚悟は本物」
結界を閉じ、周囲に冬の冷たい風と、弱い夕陽。そして、遙か下界から伝わって来る喧騒が復活する。
そう。夕闇迫る時間帯に相応しい物哀しさの中にも、待つ人たちの元に帰る人々の喜びを示す陽の気を再び感じるように成ったのだ。
「それに、龍とは契約を守る存在。おまえが自ら口にしたのなら、その誓約は必ず果たされる」
闇色のコートを翻して、振り返る事もなくその少女はそう言った。その右手は、既に非常階段へと続くドアに手を掛けた状態で。
「名前は教えて貰えないのか?」
その背中……。身長にして百五十センチにも満たない小さな身体の背中に対して、そう言葉を投げ掛ける俺。
但し、他意は有りません。それに、此方が名乗ったのですから、彼女の名前を問うたとしても失礼に当たる事も有りませんから。
何故ならば、これは、等価交換に当たると思いますからね。
少し振り返って、その燃えるような瞳で真っ直ぐに俺を見つめる黒いコートの少女。
その彼女から発して居る複雑な気。これは……逡巡か?
何故か、自らの名前を告げる事に対する黒いコート姿の少女の躊躇い。しかし、
「さつき。相馬さつき」
それまでと同じような、ややぞんざいな言葉使い。そして、少女にしては少し低いトーンの声でそう自らの名前を口にする少女。
それに、躊躇った割には普通の名前ですし、その名前と彼女のイメージが重なるトコロから、偽名の類を名乗った訳では無いと言う事なのでしょう。
ならば……。
「そうしたら、さつき」
行き成り、名前の方を呼ぶ俺。この問い掛けには、呼ばれた方の相馬さつきと名乗った少女と、そして、俺の右隣に立つ長門の方からも少し驚いたような雰囲気が発せられる。
さつきの方は判るのですが、長門の方の驚きに関しては、少し意味不明なのですが。
「さっきの俺の言葉を信用してくれて、有難うな」
振り返ったさつきに対して、そう話し掛ける俺。その瞬間に発せられる戸惑い。
そして、まるでどう答えて良いのか判らない、と言うような微妙な雰囲気を発した後、それでも、少し首肯いて答えてくれる相馬さつきと名乗った少女。
…………。
成るほど。ここから感じられる教訓と言うのは、昨夜から出会った三人の少女達すべてに言える事は、人付き合いに慣れていない。……と言う事ですか。
彼女は相馬と言う名字から察するに、国津神系の系譜を継ぐ能力者の家系に生まれた術者と言う事なのでしょうが、そう言う古い血を継ぐ家系に付き物なのが、幼少期より術の取得や修練に拘るあまり、他者との付き合いが疎かになる事が往々に
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