第8話 邪神の眷属
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た事によって、現在では、彼女の頭の中での俺の存在は無視出来ないレベルの物になっているとは思いますね。
何故ならば、先ほどの彼女の動きは正に神速。常人では、目で追う事も出来ないレベルで有る事は間違い有りませんでしたから。
俺の名乗りを聞いて、少し、後方に距離を取る黒いコートの少女。但し、その殺気は未だ健在。
そして、
「おまえは、彼女を生かして置く事がどれほど危険な事か理解していないの」
……と、問い掛けて来る。
その問い掛けは、覚悟を決めた者の問い掛け。ここまでの確信を持って問い掛けると言う事は、長門有希と言う少女がこの世界の術者に取って、危険な存在で有る可能性は高いと言う事なのでしょう。
しかし、昨夜から付き合って来た彼女は、多少の陰の気を発してはいたけれども、俺としては大して危険を感じる事のない普通の女の子……と言うには少し問題が有るけど、それでも邪悪な存在では有りませんでした。
「仮に以前の彼女が邪神の眷属だったとしても、今では違う」
俺は、その黒いコートの少女を見つめながらそう言った。但し、この言葉だけでは、彼女の覚悟には届かない。
そして、
「それでも尚、長門が世界に仇為す存在と成るのならば――――――――」
俺は、長門に視線を移しながら、一度、言葉を止め、ゆっくりと息を吐き出す。その僅かな隙間にさえ冬の大気が侵入し、俺の口元を白くけぶらせた。
長門は何も語らず。そして、何も答えず。昨夜出会った時から変わる事のない表情を浮かべ、そして、俺をその深い湖を思わせる瞳に映すのみで有った。
この闇色のコートの少女の覚悟を凌駕して、その上で、彼女が俺の言葉に納得して剣を引かせるには……。
短い思考と決断。そして、それは引き返す事の出来ない道。
「彼女を滅する役割は、縁を結びし俺の仕事となる」
ゆっくりと、自らの覚悟を示す俺。但し、本当にそんな事態に発展する可能性は非常に低いとは思いますが。
問題は、長門自身が邪神と言われた訳では無く、彼女は眷属だと言われた点。
これは、彼女の造物主の方に何らかの問題が有る、と言う事なのでしょうが……。
俺の覚悟を聞き、初めて抜いたままに成っていた蕨手刀を鞘に収める黒いコートの少女。
そして、
「ならば、ここは一度引く」
かなり不機嫌な様子で、そう言う黒きコートの少女。ただ、おそらくは、彼女の普段の表情がその仏頂面なだけで有って、現在の機嫌が取り立てて不機嫌で有ると言う雰囲気ではないと思いますが……。
「信用してくれるのか?」
僅かに緩んだ少女の殺気に、俺がそう問い掛ける。
その問いを聞いた瞬間、強い力を感じる視線で俺を射抜いた後、しかし、僅かに首肯いてくれる闇色のロングコ
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