第8話 邪神の眷属
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た黒いロングコートを纏いし少女へと弾き返して仕舞いますから。
事情が分からない限り、長門も、そして、当然、新たに現れた黒いコートの少女の方にもケガをさせる訳には行きません。
徒手空拳で有ったはずの俺の手の内に顕われた黒拵えの鞘に収められし宝刀。
鎮護国家、破邪顕正を示す七星の宝刀が、俺の霊気を纏い蒼白き輝きを発する。
蒼き霊気を纏いし七星の宝刀と、彼女の霊気を受けて紅蓮の炎に包まれた蕨手刀。
仙人が創りし宝貝たる七星の宝刀を、龍種専用の宝貝如意宝珠で完全に模したはずの俺の七星の宝刀と刃を合わせても、刃こぼれひとつ起こさない太刀。
彼女の手にする太刀も、並みの刀ではないと言う事ですか。
「何故、邪魔をする」
彼女に相応しい落ち着いた雰囲気の、しかし、僅かに怒気を孕んだ声が、刃を合した向こう側から聞こえる。
但し、この均衡は力と力だけの均衡に非ず。
互いの力と力。剣の技量と技量。そして、霊力と霊力の均衡による鍔迫り合い。
そして、互いが、己の全能力を出し切っていない事も、同時に認識している状態。
「良く見てから斬り掛かって欲しいな。長門はもう、昨夜までの彼女やない」
余裕を持った受け答えで返す俺。
そう、昨夜、俺と契約を交わした以上、例え以前の彼女が邪神の眷属と呼ばれる存在で有ったとしても、今では違います。
そして続けて、
「どう有っても、今の彼女を傷付けると言うのなら、それは龍の眷属を害すると言う事。その心算で相対す必要が出て来るが、それでも良いのか?」
少し恫喝めいた台詞に龍の気を乗せて、そう問い掛ける俺。もっとも、これは口から出まかせ。
交渉事にはハッタリも重要なのですが……。確かに、俺は向こうの世界では水晶宮の端に名前を連ねて居ましたが、こちらには、その水晶宮が存在しているかどうかは定かでは有りません。
但し、龍族と言うのは仲間意識が強い種族で、更に、天津神からはまつろわぬ者指定も受けて居ましたし、ヘブライ神族からは龍自体がすべて邪竜扱いだったので、この長門有希が暮らして来た世界が、俺が暮らしていた世界からかなり離れている世界でない限り、そう違いはないと思います。
「おまえは?」
その時になって、初めて俺の存在を意識したかのような問い掛けを行う黒いコートの少女。
確かに、俺自身がそう目立つ容姿でも無ければ、高身長と言う訳でもない。空気キャラ扱いされたとしても仕方がないとは思いますが……。
「水晶宮の端に連なる者。武神忍と申します。以後、御見知り置き下さい」
鍔迫り合いを続ける向こう側からの、僅かに怒気を孕みし問い掛けに対して、少し慇懃無礼と取られかねない雰囲気で返す俺。
但し、彼女の攻撃を捌い
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