第8話 邪神の眷属
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た。
これは……。
「結界術」
声に出して、驚いたような口調でそう言った俺。但し、これは予想の範疇。
何故、冬の寒い中に、こんな目立つ場所に立っていたのかを考えるのなら、自ずと答えは出て来ますから。
そう、これは囮。俺にも、そして長門にもそれなりの対策を施して有ります。
土地神を封印した存在が、俺や長門のような強い霊気を放つ存在を無視出来ずにちょっかいを掛けて来る可能性を信じて行っていた罠。
但し、故に、あからさまな防備……結界の類を施して置く事は出来なかったのですが。
紅い世界から、この周囲一帯……大体、直径百メートルほどの範囲内を切り取り、俺と長門の目の前に現れたのは……。
夕陽に映える長き黒髪。闇色のロングコートを冬の大気に翻すその姿は死に神か、それとも、女神か。
そして、コートの先から覗いている繊手が手にするのは長さ二尺以上の日本刀。
いや、柄頭を飾る蕨の若芽のように渦巻く特徴的なデザインから考えられるのは、蕨手刀と呼ばれる日本刀の源流。
「この状況を創り出したのはおまえか」
少女の姿に相応しい、やや幼い。しかし、凛とした雰囲気の声で、その少女が問い掛けて来た。
この状況と言うのは、現在施されている結界の事ではないでしょう。ならば……。
「いや、どう考えても俺や長門が原因ではないと思うけどな」
そう答える俺。まして、長門が原因で土地神たちが封印されたり、俺が異世界から島流し状態となって居たりしているとは思えませんから。
それに、昨日の朝まで、ここの世界とは縁も所縁もない異世界で暮らして来て居た俺の所為で、世界が危機に瀕しているとも思えませんしね。
しかし……。
「おまえになど聞いてはいない」
かなり冷たい言葉を口にする黒いコートの美少女。まして、その強き光りを放つ瞳には俺も同時に映して居ますが、この黒髪、黒いコート姿の美少女が意識しているのは長門のみ。
そして、
「おまえが邪神の眷属だと言う事は判っている」
刹那、世にも妙なる音が紅き結界内に響き渡る。
その一瞬の交錯。常人の目には、動きを捕らえる事さえ出来はしない刹那の時間に交わされた刃と刃。
そう。屋上の入り口に立っていた少女が長門に対してそう告げた後、一瞬の内に彼我の距離をゼロにした瞬間、俺が長門と彼女の間に割って入ったのだ。
上段より振り抜かれようとした彼女の太刀を避けようともしない長門。
避けないのか、避けられないのか。
いや、そもそも避ける必要などない。彼女には一度だけ、物理攻撃と魔法攻撃を完全に反射する仙術を施して有りますから。
但し、故に、長門への攻撃を許す訳には行かない。彼女への攻撃は、そのまま攻撃を放っ
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