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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
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第九話「ペット発見!」
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た私は人里を離れ、妖たちに見つからないように身を潜めながら過ごしてきた。だが、いつまでもそんな生活が続く訳もなく、ついに体力が尽きた私は近くの茂みに身体を横たわせた。
――私はなんのために、生まれてきたのだろう……?
そんな疑問が浮かび上がったが、間もなく尽きる命だ。答えが見つからなくても構わなかった。
後は来たるであろう死を待つのみ、そう思い目を閉じたが、そんな私の前に一人の人間が姿を現した。
――それが、目の前で飲み物を飲んで一息をついている、この男だ。
奇妙な人間だ。今まで見てきた人間とは明らかに一線を画している。一言でいうなれば、異質。
妖である私を気味悪がるわけでもなく、かといって怯えているわけでもない。怪我を不思議な力で治したことといい、得体が知れない人間だ。
けれど、私の身の上話を聞き頷いている様子からこちらの話を信じ切っている。純粋というかなんというか、他者を疑うということを知らないのだろうか?
――なんにせよ、得体の知れない異質な人間というのが私の第一印象だった。
そんな人間が私を気に入ったと言い、あまつさえ家に来いと言う。気が狂ったか、もしくはなにか打算的な考えがあるのではと思ったが、男の目からは今まで見てきた人間が浮かべていたヌメヌメしたような嫌な視線は感じられなかった。
ポカポカするような暖かい目で私を見つめる男。その大きな手で私の頭を撫でるその感覚。
――温かい……。
そんな言葉が浮かんだ。誰かにこうして触れられたことは産れて一度も無かったなと、ふと思い出す。
――私は人間を信じない。
けれど、
――この男は信じてみようかなと、少しだけ思った。
「俺が守ってやるから心配するな」
その言葉とともに伸ばされる手が、なんとも温かく、それでいて心地よく感じた。
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