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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始前
第九話「ペット発見!」
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、ソレと目が合わさった。


「――は?」


 そこにいたのは一匹の小狐だった。白い体毛は所々血で汚れ、力なく地面に伏せたその狐は自身の尾で顔を隠すようにして身体を丸めている。寒いのかその小さな体躯はプルプルと震えていた。


 俺が驚いたのは膨大な妖気の持ち主が小狐であったのもそうだが、その尻尾の数だった。


 ――九尾の狐、か?


 尻尾の数は九本。かの有名な妖狐、玉藻前と同じ九尾の狐で間違いないだろう。しかし、九尾の狐は白面金毛九尾といわれるように毛が金色だったはずだが、白いな、この子は。亜種か?


「これは、どうするかな……」


 ここで痛みも与えずに殺すのは簡単だが、怯えた目で俺を見上げるこの子を見ると、流石にそんな気も失せていく。


 何よりこの目。母親とはぐれたかのような心細い目を見ると、どうしても保護欲が湧いてくる。


 ――まあ、動物はブルドッグ意外は好きだし、負な気配はしないから一旦連れて帰るか。


 考えが纏まった俺は小狐に手を伸ばす。ビクッと一段と震えるその身体を持ち上げ、懐に入れた。


「君、冷たいなー。いつからそこにいたんだ?」


「コン……」


「なるほど、何言ってるのかさっぱりだな」


 取りあえず自宅に連れ帰った俺は小狐の傷を魔術で癒し、暖かいミルクと黒和牛の肉を与えてみた。狐の食生活なぞ知らないので、一応目についたものを与えてみたが、思いのほか気に入ったようで夢中になって食らいついている。ただ腹を空かせただけかもしれないが。


「あー、どうするかな……。この子を置いて旅行には行けないし」


 まさか、野良狐を捕まえるだなんて思いもよらなかったからな。腹がいっぱいになって満足したのか、キョロキョロと部屋を見渡す小狐に話しかける。


「そろそろ話してくれると、こちらとしては助かるんだが?」


 小狐はビクンっと毛を立たせて身体を硬直させると、恐る恐る俺を見上げた。


「……いつから気付いていたのですか?」


 ハスキーな声が小狐から発せられる。


「初めから。妖気を感じたから来てみれば小狐の君がいたというわけだ。大妖クラスの妖気だからそれなりに知能があると思って話しかけてみたんだが、やはりか」


 そう言うと、小狐は警戒するように俺から距離を取った。


「私を殺すのですか……?」


「殺されたいのなら」


「なっ……、殺されたいなんて思うはずがないじゃないですか!」


 シャーっと牙を向く狐に悪かったと手を上げる。


「君から敵意は感じられないからな。人間を害するつもりがないのなら俺からどうこうする気はない」



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