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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
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第八話「トラウマ」
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」
涙を流して俺を抱き締めるお袋に、困ったように頬を掻いた俺は隣で俯く妹の姿に目を細めた。
「なんだ、君もか? 亞愛」
「もとはと言えば、私が原因なのよ……。それなのに、兄様はなんで私を責めないの?」
――おいおい、なにを言うかと思えば。
「そんな昔の話しは忘れたな。第一、それはすでに解決したと記憶しているが?」
なんでも無いように話す俺に亞愛も双眸から涙を零した。お袋と同様に俺の腰に抱きつく。
「……对不起、哥哥先生っ(ごめんなさい、兄様)!」
只でさえ身動きが取れないのに、心のダムが決壊した刈愛たちも抱きついて来る。すでに店員オーバーなんだが!
――まあ、これも家族との触れ合いだと思い、されるが儘だったがな。
† † †
幸い萌香は眠っていたので滞りなく『朱染千夜』に関する記憶を封印した俺は、その日の内に荷造りを済ませた。夜明けとともに家を発つ予定だ。
玄関前で集まってくれた皆と今日最後の言葉を交わす。
「じゃあ、元気でね。身体には気を付けるのよ」
「ああ、大丈夫だよ」
――お袋も身体には気を付けなよ。
「加油啊(元気でね)。たまには顔を見せてね」
「年に何度かは見せるようにするよ」
――その時は人間界のお土産を持って来るようにするよ。
「身体には気を付けてね」
「お袋と同じことを言ってるぞ、刈愛」
――萌香と心愛のことは頼んだぞ。亞愛と一緒に支えてやってくれ。
「おにぃざまぁぁ……!」
「おいおい、心愛はまた泣いているのか? そんなんじゃ、萌香にからかわれるぞ?」
――なにも一生会えなくなるわけじゃないんだ。また、そのうち顔を見せるさ。
亞愛に鼻をかんでもらっている心愛に苦笑した俺はトランクケースを持ち上げる。
「向こうに当てはあるのよね?」
「ああ。仕事のお得意様が優良物件を紹介してくれるらしいからな。それにお袋が言っていた三大冥王の御子神さん、だっけ? にも顔を出しておくから」
向こうでの俺の生活を心配したお袋が同じ三大冥王である御子神というヒトを紹介してくれるという。なんでも学園の理事長を務めているらしい。正直、生活費は仕事を通じてそれなりに蓄えはあるし、お得意様も大勢いるから仕事には困らないんだが。まあ、折角の善意だから無駄にはしないけどさ。
「千夜様、そろそろお時間です」
「ああ、わかった。じゃあ
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