第5章 契約
第50話 吸血姫
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、言ってみな」
王女らしいとは言い難い答えでは有りますが、イザベラはそう答えてくれた。
「この世界の吸血姫の習性について。精気の補充が必要だから、もっとも効率良く精気を集める為の吸血行為なのか、それとも、感情の高ぶりによって、理性で心を抑えて置く事が出来なく成る事に因る吸血行為なのかが知りたいのですが……」
前者ならば、現状でも問題は有りません。
現在はタバサと俺の間に、新しい霊気をやり取り出来る、今までよりも深く密な繋がりの因果の糸を通して、タバサの不足している霊力を補っている状態。
尚、これは、受肉した存在との式神契約に当たります。
そして、一般的な吸血鬼と、そのサーヴァントとの関係もこれに当たります。
まして、俺の霊力供給に関しては、タバサ一人分ぐらい受け持っても未だ余裕が有りますから。
しかし、もし、後者の理由に因り、吸血行為が発生する場合……。
現状の霊気を送る以外の方法。もっと直接的な双方の血のやり取りが必要と成ります。
そう。吸血鬼の吸血行為とは、一方的な搾取だけではなく、自らの血液を相手に与えると言う行為も含まれると言う事。
この場合は、現在の霊気のやり取りだけ、と言うお茶を濁すような方法以外を取る必要が有りますから。
そして、その事に因って、新たな問題点も出て来るのですが……。
「わたしは血を引いているけど、今の所、吸血姫ではないから確たる事は言えない。けれども、王家の伝承に残っている内容から推測すると、おそらく後者の方だよ」
半ば予想通りの答えを返して来るイザベラ。但し、故に、新たな問題も出て来た訳で……。
俺は、イザベラから眠れる森の美女ならぬ、眠れる美少女の方へ視線を向けた。
其処には普段通りの、白磁と表現される肌の少女が穏やかな寝息と共に有った。
……やれやれ。そんな事を聞ける訳はないか。
吸血鬼の吸血行為と言うのは、精神支配を伴う場合も有ります。
もし、このタバサが継いで来ている血族が、その類の吸血姫だった場合……。
そうして、このハルケギニア世界の使い魔契約と、俺の知って居る吸血鬼の血の契約との類似性。危険な……。俺では式神にする事の出来ない、陰気に染まった危険な妖獣、凶獣の類を使い魔にしていた魔法学院の生徒達の存在が有った以上、この世界の使い魔契約に、絶対に精神支配の魔法が介在していないとは言い切れません。
更に、何故か俺とタバサが交わした使い魔契約には、精神支配を伴う契約では有りませんでしたが、次のタバサと交わす血の契約に関しては、同じような精神支配を伴わない契約の形態と成るとは限りませんから。
ここまで考えてから、もう一度、眠れる少女を見つめる。
彼女はただ眠るのみ。
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