暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第5章 契約
第50話 吸血姫
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、紫外線に過敏に反応する、と言う部分が有ります。

 つまり、タバサは無意識の内に、紫外線から自らの身を護る為に、霊力を常時消費し続けていたと言う事なのでしょう。
 そう考えるのなら、あの異常な食事の量に説明が付けられますから。

「まして、始祖の使い魔と言うのは人間で有ったらしい」

 普通に考えるのならば、いくら別世界の人間でも、人間を『使い魔』として召喚出来ると言うのは異常でしょう。
 ならば、考えられる可能性として簡単なのは、召喚する側が人間では無かった。この可能性が出て来ると思います。

 もっとも、この仮説に関して、俺の場合は微妙に外れているような気もするのですが……。ただ、それでも、俺が人間体で召喚されたのは事実です。
 それに、俺自身が龍の血を引いているだけで、人間体以外の姿に成る事は出来ませんからね。

「最後は、各王家の王位継承権を有している人間の数が少な過ぎる」

 ガリアはゼロ。トリステインはアンリエッタのみ。アルビオンは死亡した皇太子以外にはティファニア王女のみ。
 もっとも、トリステインには公爵家が存在するので、ガリアやアルビオンよりは、もう少し多い可能性も有りますが。

 しかし、この未来がない状況でも、それぞれの王家に後宮が置かれてはいない。この状況は歪で不審。
 何故ならば、王家に取って最大の仕事。次代に……自らの血族に次の王位を繋ぐ、と言う行為が難しく成ると言う事ですから。

 ここから考えられるのは、それぞれの王家に、何か公に出来ない秘事が有ると言う事。

 そして、それが王家の一員に脈々と受け継がれて来た血が吸血姫の血脈ならば、謎は簡単に解く事が出来ます。
 吸血姫の吸血行為とは、愛の表現そのもの。

 吸血鬼の種類にも因りますが、吸血衝動と言うのは、単なる空腹や魔力切れなどから起きるモノから、それ以外の理由に因るモノまで様々な理由が有るのですが、最初の吸血衝動とは、恋愛感情に因って起こる場合が多いのです。
 相手のすべてを受け入れたい。……と言う感情の爆発から起きる場合が。

 普段は理性で押さえている感情。そんな中で、後宮などを作って、王家に流れる吸血鬼の血の渇きが発動した瞬間を目撃された場合……。
 全ての人間が、俺の様に簡単に受け入れられる訳は有りませんから。

 まして、その時の対応如何に因っては、更なる悲劇を齎せる可能性も有ります。
 このようなリスクが後宮を置く、と言う事は孕んでいると言う事。

 ただ、問題なのは……。

「イザベラ姫。質問が有ります」

 俺は居住まいを正し、イザベラに対してそう問い掛けた。
 そう、これからの問いは重要。そして、彼女の答え如何に因っては、俺も覚悟を決める必要が有りますから。

「何だい
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