第5章 契約
第50話 吸血姫
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げ、瞳に映るのはイザベラと、妖精女王。
片方からは、驚いたような気が発せられ、
片方からは、少し哀しげな気を発せられる。
俺の瞳が……?
おそらく、かなりマヌケな顔で、二人の少女たちを見つめ返して居るで有ろう俺。こんな時に、鏡を持って居ないのは非常に不便なのですが……。
「あんたの瞳の色が、変わっているんだよ」
俄かには信じられないイザベラの言葉が、地下の大空洞内と、俺の心の中をゆっくりと広がって行った。
最後に、あのクーデターの夜の最後に、タバサの身に現れた異常については……。
「あんた、エレーヌの身に起こった異常現象の理由が判っていた、と言うのかい」
イザベラが与えられている館プチ・トロワの一室。
タバサは俺の傍のベッドで眠れる森の乙女状態。但し、彼女の瞳の色は、元通りの蒼に戻っているはずです。
「向こうの世界でも、俺は夜魔の王と出会った事が有るからな」
無表情で問い掛けて来るイザベラに対しての、俺の種明かしの台詞。
そう。一度、出会った事の有る種族なら、俺の見鬼の技能でも見分ける事が出来ます。まして、タバサのように覚醒したばかりの存在ならば、擬態する能力も高い訳ではないので、人か、それともそれ以外の種族なのか、の見分けぐらいは簡単に付きますから。
俺の答えに対して、僅かな逡巡を見せるイザベラ。しかし、
「ガリア。トリステイン。そして、アルビオンの各王家が継いで来ている始祖の血と言うのは、吸血鬼の血の事さ」
……イザベラが、酷く疲れたように息を吐き出しながら、そう言った。確かに、早々、公表出来ない類の事実には違いないでしょうが、俺に取っては、大きな問題となるような秘密でも有りません。
タバサの血の中に、何か異種の因子が入って居たとしてもそれは俺も同じ。そして、吸血鬼……いや、タバサが吸血姫に転じたとしても、彼女が必要としている精気……つまり、霊力を俺が賄えば良いだけですから大きな問題は有りません。
「驚かないのかい?」
イザベラがそう問い掛けて来る。そして、それは当然の疑問。彼女らにしてみたら、知られてはマズイ秘事のはずですからね、この吸血姫の因子を持って居る、と言う事を知られると言う事は。
「先ず、タバサが取り入れているカロリーから考えて、彼女が日々に消費しているカロリーとの差にギャップが有り過ぎた」
俺の倍以上のカロリーを摂取しながら、それでも、彼女がメタボにまっしぐら、と言う雰囲気は有りません。これは、彼女が普段から、何らかの霊力を大量に消耗するような状況に置かれていると言う風に推測する事が妥当でしょう。
そして、吸血姫の特性の中に
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