第4章 聖痕
第49話 太歳星君
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す、謎の黒髪の青年。しかし、その妙な東洋的笑みを浮かべたままで。
こいつは、俺の感じた雰囲気では敵。しかし、語っている台詞の内容は味方。俺の感じたままを信用するべきか、それとも、現在の彼の言葉を信用すべきか……。
「それなら、其処で寝ている、おデコの広い姫さんを助けて貰う事は出来ないか。俺が、お前さんの生命を助けたのが一度なら、その娘の生命を一度助けて貰う事でチャラに出来ると思う。これは、悪い取引ではないと思うけどな」
本当に勝手な言い分を口にする俺。何故ならば、この交渉には、ブランシューの言い分が一欠けらも考慮されていませんから。
もっとも、少女の心臓を取り出して、それを贄にして邪神を召喚しようとする存在の言い分など、初めから考慮する言われなど有りはしないとは思うのですが。
「その程度の事なら、問題ないですね」
本当に簡単にそう答えた青年が、次の瞬間、軍杖を突き付けられたまま、こんこんと眠り続けていたイザベラを自らの腕の中に納めていた。
彼自身が立つ位置は変わらず。そして、俺の瞳には、彼自身が動いた痕跡を確認出来ないトコロから、おそらくは物体の引き寄せ。アポーツの類を行使したのでしょう。
そして、その際に、確かに不自然な霊力の動きは感知出来ましたから。
「ソルジーヴィオ、約束が違うだろうが!」
人質兼生け贄の羊であるイザベラを手の内から失ったブランシュー伯爵が、その謎の青年の名前を叫んだ。
ソルジーヴィオ。邪神セトの召喚を目論んだリード・アルベロと言う名前の青年が所属していた商会の名前と同じ名前で呼ばれる青年……。
そして、現在は太歳星君が召喚されようとしている最中……。
どう考えても、この両者が無関係で有る訳は有りませんか。
「ブランシュー伯爵との契約は、太歳星君の召喚方法の伝授と、その手伝い。その召喚作業に、このガリアの姫は必要有りませんから」
そう言って、ブランシュー伯爵の傍から、高き空中へと飛び去るソルジーヴィオと呼ばれた青年。
そして、遙か高き空中から、ブランシューと俺達を睥睨した後、
「太歳星君のような祟り神を召喚するのに、簒奪者の末裔とは言え、汚れなき処女の血と心臓では、些か荷が勝ち過ぎるでしょう。
まして、彼女には、太歳星君を封じた人間の血は一滴たりとも流れてはいないのです」
彼女の先祖が、その血を絶やして仕舞いましたから、と、そう話を締め括ったソルジーヴィオ。
確かに、魔術的な理には適っているソルジーヴィオの台詞。しかし、それでも、イザベラがブランシューから奴の手に移っただけで、俺やタバサが動き出せる状況には未だない。
動き出すには、もう一手。イザベラの身の安全が完全に確保されない限り、俺にしても、タバサにしても、戦闘
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