第4章 聖痕
第49話 太歳星君
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まり相手を刺激し過ぎないように、ゆっくりとした降下のスピードを維持し、それでも、ヤツの関心が此方に向くように心がけながら。
「我が友は、そちらのオルレアンの姫を用いて、この国を牛耳る事が望み。しかし、彼奴の器量では、大望を抱いたとしても所詮は叶わぬ夢で有る事は間違いない」
そう言ってから、俺達の方を意味あり気に見つめるブランシュー伯爵。
そして、
「尊師からの命令でも、最早、其処の小娘に利用価値などなし、と言う命令を受けていたにも関わらず、そのような小娘に拘るから、身を滅ぼす事となる」
一人はみんなの為に。みんなは一人の為に。とてもでは有りませんが、その言葉とは反するような気を発しながら、そう続けたブランシュー伯爵。
それに、今、彼が発した台詞は、あのカジノ事件の際に、暗殺者エリックが発した台詞と同じ内容の台詞。
しかし、余裕を持った態度や台詞に反して、俺達が着地すると同時に、ブランシュー伯爵は、腰に差していた軍杖を引き抜き、眠ったまま目を覚まそうとしないイザベラに突き付けた。
そうして、
「おっと。それ以上、近付くのは御遠慮願えますでしょうか、オルレアンの姫。私は、貴女と、貴女の使い魔の力量を高く評価して居ります故、エリックや、シャルルのような愚は犯しません。
貴女がたは、この姫の心臓を用いた邪神召喚術の観客としてこの場に招き寄せられたに過ぎない存在です」
趣味の悪い服装とその口調から、程度の低い舞台に立つ悪役を演じる役者風の雰囲気を発しながら、そう俺達に告げて来るブランシュー伯爵。
あまり相手を刺激しないように、少しずつ近付きなら降下した為に、彼我の距離は五十メートル程には縮まっているので、ブランシュー伯爵が魔法の有効射程範囲内で有るのは確かです。しかし、それでも対攻撃魔法用の結界が施されていない可能性は低いでしょう。
流石に考えもなしに攻撃した挙句、失敗しましたでは済まされませんから。
まして、あそこがストーンヘンジの中心ならば、其処は霊的な場所。何モノかは判りませんが、強力な神や悪魔を呼び寄せる為の召喚術を行うには、最適な場所と言えます。
そして、邪神召喚の生け贄にされると言う事は、彼女イザベラを、この事件の後に蘇生魔法を使用して蘇らせる事は不可能に成ると言う事でも有ります。
つまり、ここで慌てて動いたとしても、事態が好転する可能性は低いと言う事。
さりとて、このまま経過を見つめるばかりでは、イザベラの死亡した後、その召喚された邪神を相手に戦うしか方法が無くなりますから……。
ここまで、見晴らしの良い場所では、正直に言うと打つ手は少な過ぎますか。
先ずは、何らかの魔法で眠らされて居るイザベラの目を覚まさせる方法を考え始めた俺
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