第5話
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…は?買い物?
「話が見えないんだが?」
「違うのか?俺は買い物に付き合ってくれって言ったものだと…」
どうしよう、一夏の鈍感ぶりに頭を抱えたくなった。
これでは勇気を出した篠ノ之が可哀想だ。
男女交際を真剣に考えていたと思った、俺の感動を返してほしい。
「後の事は後で考えろ。そろそろの夕飯の時間だしな」
「そうだな、よっと!」
寝転がっていたベッドから弾みをつけて起き上がり、一夏がドアに向かい、ノブに手をかけた時にノックが響いた。
『一夏、居る?』
「おう」
ドアの向こうに一夏が返事をして開けると、少し驚いた様子の小柄な少女が。
「い、いきなり開けないでよ!びっくりするでしょうが」
彼女は凰 鈴音(ファン・リンイン)。一夏の二番目の幼なじみ。IS『甲龍』の専属操縦者。
活動的なツインテールの美少女。色々小さい。
「今何か言った?」
「何も言ってないが?」
気にすることがあるのか、彼女は自分の体型の事を鋭く感知する。
もっとも、感づかれやすいのは一夏の方で、俺が察知されたことは今のを含めても僅かしかない。
やはり、乙女心は複雑怪奇にして、予測不能な力を秘めているのであろう。
「で?凰は一夏を誘いにきたのか?」
「ご明察。雨の日に捨てられている犬をかわいそうと思うくらいの優しさは、持ち合わせがあったからね」
一夏犬っぽいか?…ぽいな。
「そりゃどうも。じゃあ食堂へ行こうぜ」
「悪いが、片付けが残っている。凰と二人で行ってくれ」
「そうか?なら行くか鈴」
「ええ。(ありがと、丹下)」
一夏に見えないように口パクで感謝を伝え、凰は一夏と食堂へ向かっていった。
手早く片付けを終わらせ、部屋を、ベッドを一瞥して、悪いことを考えた。
「一夏、君が鈍感でなければ、俺もこんな事はしなかった。恨むなら己の鈍さを恨むがいい!」
ベッドの掛け布団と枕をそっくり入れ替えてやる。
小さな悪戯を仕掛け、食堂へ向かう。
ふん!精々先に床について、違和感に苛まれるがいい!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
食堂は女子たちの会話で毎日賑やかだが、今日は特別賑わっていた。
一夏を探して見つけたが、生憎凰達女子に周りの席が固められている。
知り合いの姿も無く、仕方なしに隅の方の空席を確保する。
一人寂しく飯を食べていると、
「…よう、ハル。ここ、いいか?」
「…ゼロ?」
何とも珍しく、宮間さんものほほんさんも側にいない、若干やつれたゼロが正面の席に座った。
「デートで修羅場?」
「いや、最高に仲良くやってる。二人とも、激しくてな…」
疲れた顔ながら、どこか嬉しそうなゼロ。何があったか知り
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