第三幕その八
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また男爵を気遣っての言葉を述べるのであった。
「騎士で。貴族であられるならば」
「貴族であるならば」
「そうです。ですから」
「わしは。そうだ」
確かに彼は貴族だ。その誇りもある。今それをあらためて思うのであった。これこそが夫人の導いたものであった。
「貴族であった」
「ですから今はお考えになられずに」
「そうですな。それは」
ちらりとオクタヴィアンにゾフィーを見る。何故かもうオクタヴィアンへの恨みは消えていた。自分でもそれが不思議ではあったが。
「わかりました」
「有り難うございます。そうして頂けると」
「レルヒェナウ家の者は他人の楽しみを妨げる程野暮ではありません。では」
「ええ。それでは」
「所詮わしはレルヒェナウの者」
言葉と表情に自嘲が見えた。だがそれはほんの一瞬のことですぐに打ち消したのであった。夫人だけがそれを認めたがあえて言いはしなかった。
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