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薔薇の騎士
第三幕その七
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第三幕その七

「さあお認めになって下さい」
「御自身のされたことではないですか」
「旦那様!」
「どうされましたか!?」
 ここでようやくといった感じで彼の従者達が来た。彼等はすぐに子供達やアンニーナ達を押しのけて主を取り囲んで守る。男爵は彼等に守られだしてようやく落ち着いた。それでやっと話すのであった。
「こういうことですじゃ。わしはオックス男爵ですぞ」
「酔っ払いに証明できるとでも?」
「だからどうしてこう」
 わざと納得しない警部に対してまた泣きそうな顔になるのだった。
「信じてくれんのだ」
「あの」
 またマリアンデルとしてオクタヴィアンが警部のところに来た。
「むっ!?」
「ああ、そうだ」
 男爵は彼女、男爵がそう思っている相手を見て活路を見出した気になってまた述べるのだった。
「わしは彼女に何もしておらんよ。誓って言う」
「私にも結婚を誓われましたわね」
「だから貴様なぞ知らんわ!」
 横から言ってきたアンニーナに対して叫ぶ。
「何故そうなるのだ、一体全体」
「やはり信用できませんね」
「そうだな」
 警部はわざとらしく警官の言葉に頷く。
「任意同行を願うか」
「なっ、貴族であるわしが」
「ですから」
「あっ!」
 だがここで。また新たな声が聞こえてきた。店の主人の声だったが思いも寄らぬ客、この日のこの店で何人目かわからないその客の来訪に声をあげたのである。
「どうして貴女様がこちらに」
「貴女様!?」
「それは一体誰だ!?」
 皆とりあえず男爵から目を離して声の方を見る。男爵もとりあえず目が離れたのに感謝して声の方に顔を向けるのであった。するとそこにいたのは。
「どうして・・・・・・」
 オクタヴィアンは思わず声をあげてしまった。何とそこにいるのは元帥夫人だったのだ。白いシックな外出着に身を包み羽根飾りのついた帽子を被っている。穏やかかつ優雅な物腰で部屋に入って来たのであった。
「ようこそここに」
 男爵が最初に彼女に頭を垂れる。オクタヴィアンは慌てて着替えの為にカーテンの奥に消える。夫人は静かに警部のところに来て告げるのであった。
「お久し振りですわね」
「はい」
「んっ!?」
 男爵は警部が夫人に丁寧に頭を垂れたのを見てふと不思議に思った。
「奥様はあの警部とお知り合いなのか」
「主人の伝令をされていた時にはどうも」
「はい」
 二人はそうやり取りを続ける。そうした間柄だったのだ。
「どうしてあの方がここに」
 オクタヴィアンはカーテンの中で必死に服を脱ぎながら呟く。彼は既に自分の服をメイド服の下に着込んでいたのである。それで今こうして着替えているのだ。
「何がどうして」
「あの」
 ゾフィーがここで怒りを抑えた様子で呆然としている男爵
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