第二幕その八
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第二幕その八
「私は一緒には行きません」
「そういうことです」
オクタヴィアンも彼女を護りながら男爵に対して告げる。今にも腰の剣を抜かんばかりの剣幕で。
「貴女とは結婚されないのです」
「戯言ですな」
ましてや貴族の世界では、男爵は言葉の外でこう言っていた。
そのままさらに言葉を続ける。
「そんなことを本気で取り上げては世の中は動かない。ですから」
「行かないと言っているではありませんか」
前に出た男爵の前に立ちはだかるようにしてまた告げるオクタヴィアンであった。
「さあ、下がって下さい」
「人を待たせるのはどうかと思いますが、伯爵殿」
「そんなことは話していないでしょう」
オクタヴィアンも退く気はなかった。あくまで突っぱねる。
「とにかく。彼女は貴方とは結婚する気はないのです」
「ふむ、十七とは思えぬ気迫ですな」
これは完全に皮肉である。
「ですが伯爵殿、あまり無体なことを言われてはいけませんぞ」
「無体なことですと」
「そうです。あまり我儘を言われると」
ここで呼んでもいないのに男爵が入って来た戸口から彼の従者達がどやどやと入って来た。皆真っ赤な顔をしている。その手にワインの瓶や大きなソーセージを持っている者までいる。彼等は男爵の後ろから口々に言うのだった。
「どうしました、旦那様」
「まさか大変なことが」
彼等の主に異変が起こっていることを察知してそれぞれ身構える。だが男爵達はそんな彼等を制する。
「御前達は静かにしておれ」
「はあ」
「そうでしたか」
「男爵」
オクタヴィアンはここで遂に剣に手をかけた。
「彼女は何があろうとも」
「旦那様!」
「ここは剣を」
「馬鹿を申せ」
しかし男爵は剣を抜こうとはしない。それどころか後ろから急かす従者達を叱った。
「他所様のお屋敷の中でだな」
「ですが旦那様」
「向こうは」
「さあ、男爵」
既にオクタヴィアンはその剣に手をかけ引こうとはしない。
「剣を抜きなさい。そして」
「果し合いというわけですな」
「そうです。さあ」
「では」
ここに至って遂に彼も剣に手をかける。といってもオクタヴィアンのそれとは違い動きがどうにも野暮ったく鈍いものであった。
「勝負を」
「宜しいでしょう。それでは」
二人は剣を抜いて突き合う。勝負は呆気無く終わり男爵が剣を落とした。
「しまった、やられた!」
「旦那様、御無事で!」
「大丈夫ですか!」
従者達は酔いも一気に醒めて男爵に駆け寄る。男爵はその彼等にも叫ぶ。
「医者を呼べ!」
まずはこう叫ぶ。
「包帯もだ!警察も!血が流れているな!」
「本当だ!」
「早く手当てを!」
オクタヴィアンをよそに必死に男爵を気遣う。しかしそこにあのヴァ
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