第二幕その六
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第二幕その六
「もう限界だ。何とかならないものか」
「いやいや、わしは幸福者ですじゃ」
「いよっ、旦那様」
またしても従者達が調子に乗って主を乗せる。
「この幸福者」
「憎いですぞ」
「ははは、帰ったら皆でワインとビールで乾杯だ」
「旦那様の幸せに」
「ついでにソーセージとハムも」
「よいぞよいぞ」
こんな調子であった。ゾフィーのことは好色そうな目で見るだけで完全にレルヒェナウにいる時と同じになっている。少なくともウィーンのそれではないのは確かだ。
「さて。それでな」
「はい」
「どうされますか?」
また従者達と話をする。部屋中にいる従者を自分の側に集めようとする。それでオクタヴィアンの前を通ってそのところにいる従者達を手招きしようとする。その時だった。
「そうじゃ」
浮かれきった顔でオクタヴィアンに顔を向けて話すのだった。
「伯爵殿」
「何でしょうか」
不機嫌を隠さずに男爵に応える。
「どうも花嫁はまだ何も御存知ない。しかしですな」
「何でしょうか」
不機嫌なままで応える。
「それもこれまでのこと」
「どういうことですか?」
「だから申し上げたままでございます」
得意満面な顔であった。
「初々しいからこそ可愛い。そしてその可愛さが」
「どうなるのでしょうか」
「全てわしのものになりますのじゃ。もっとも伯爵殿が」
「私が?」
「彼女に少しいろ目を使われても何も言いませんぞ。わしは寛容ですので」
そう言うと彼の前を通り過ぎた。そうしえ自分の従者達を手招きする。オクタヴィアンは嫌悪に満ちた顔で彼を見ながらゾフィーのところに歩み寄る。それから彼女に囁いて問うのであった。
「本当にあの男と?」
「いいえ」
必死にそれを否定する顔で首を横に振って応える。
「そんなことは。それでですね」
「何でしょうか」
「御願いしたいことがあるのです」
小声で囁いてきた。
「御願いですか」
「そうです。助けて下さい」
小声だが必死に嘆願してきたのだった。
「どうか私を」
「わかりました」
それに頷く。ところがここで家中で騒ぎが起こった。
「どうしたのだ?」
「あの、旦那様」
ファニナルが騒ぎに顔を顰めたところで今この部屋にいる執事とは別の執事が慌てた様子で部屋に入って来た。若い黒い髪の執事だ。
「大変なことになっています」
「大変なこと?」
「レルヒェナウ家の方々がですね」
「わしの家のか」
男爵はそれを聞いて顔を向けた。
「どうしたのだ?」
「大酒を飲むわ大飯を喰らうわ女の子にからむわで」
「そんなに凄いのか」
「まるでフランスの兵隊共です」
またフランスが出た。これでもこの時代同盟関係にある。
「トルコ人の方がずっとましです
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